初雪が風とともにやって来ると、秋を彩っていた葉が一気に落ちる。明るくなった林を足音とともに歩く。いちばんの贅沢だ。梢から落たヤマブドウの小さな房が見つかった。新鮮で白い粉が付き、天然の酵母も一緒なのだろう。見上げるといくつもぶら下がっているが、あわてて採ることもあるまい。昔、老人が種ごとカリカリと食べていたのを思い出した。上出来ではなかったが、昔はこれで素朴なワインを作った。アイヌ語では「hat=ハッ」というそうだ。
「生活」カテゴリーアーカイブ
437 グミ X グミ
436 綴れ織り
435 南国の痲味
433 半世紀の間に
432 警戒色
431 黄金の果実
430 トドノネオオワタムシ
山の黄葉が進んで、ふっと気温も緩み風が凪いだとき、いつものように雪虫に出会う。今日の裏庭は雪虫の吹雪のようで、ユキムシスープの中にいるようだった。どうしてもふわふわ飛ぶ雪虫を画像に収めたくて重いカメラを覗きながら700枚ほど写して使えた2枚がこれ。前肢を高く掲げ後肢をそろえ、凛と矜持を持って飛んでいる。心もとなくあやうくも見える雪虫の正体は小さくも強かな生命体だった。標準和名はトドノネオオワタムシ。ヤチダモなどの広葉樹とトドマツを宿主として移行、変態と単為生殖を繰り返す。いのちの複雑さと進化の妙である。生活史は北大の河野弘道博士により明らかにされた。
河野博士は縄文遺跡の貝塚をアイヌ儀礼の「物送り場」と考えたことでも知られる。これは現在の縄文文化を考える基本理念ともなっている。伊達市噴火湾文化研究所長・大島直行氏によるブログ、「縄文へのいざない」参照。http://jomon-heritage.org/blog/kouza/224