830 時の形

洞爺湖洞爺湖ととなった巨大カルデラは10万年前の出来事。中島は5万年前の噴火の姿であり、向うの有珠山は2万年前に誕生し現在はこの形。ここは洞爺湖美術館。何ともいい形に刈り込まれた樹がある。ビャクシンだろうか。湖の周囲には有珠山の2000年噴火復興を祈念した58基の彫刻が置かれているが、負けないくらいの造形だ。美術館では洞爺湖ビエンナーレの作品展が開催されていた。

829 ヘーゼルナッツ収穫

ヘーゼルナッツ今年のヘーゼルナッツ(セイヨウハシバミ)の収穫が終わった。苗木を植えて10年位経ったか。収穫は2年目。左は大粒のフィルバート種で右は小粒のコモンヘーゼル。日本在来のツノハシバミ、ハシバミなどがあり、先史時代から食べられてきた。生食できるのが強みだ。180℃、10分ローストするとなお香ばしい。ドングリ類とは異なりカバノキ科。来春の雄花がもう垂れさがっている。

828 いつもの冬

有珠山の雪有珠山に雪が来た。夏には緑に包まれる。こうやってこの山は2万年を過ごしてきた。3万年ほど前にシベリアからやってきた後期旧石器時代のホモ・サピエンスたちは、遠く近くにこの山を見ていただろう。1万数千年以前は氷河時代で、その後縄文時代を経て、その末裔の私自身はあと何回緑の季節に出会えるか。この山は火山としてはまだ若い山だ。噴火しながらこの山はまだ続く。

826 雪リンゴ・フジ

雪リンゴ・フジ我家で一番の古木、といっても30年くらいなのだが、品種はフジ。その実は硬く日持ちし、美味しさも上々。晩生で少しくらいの霜や雪にもまったく平気で、試練の中で充実し、いわゆる「蜜リンゴ」となる。今日、11月16日、気温は2℃。ゆっくりとボタン雪が降り積もり、リンゴはさらに赤く色づいた。いよいよ収穫の時期だ。この冬、大鍋でジャムを作り、残りは春まで食い繋ぐ。

825 山椒は小粒でも

山椒北限のサンショウ(ブログ823)、採って1週間干したら、爆ぜてこの通り。赤い皮一片を口に含むと、ヒリリと心地よいシビレが来た。日本の五味の中にはこの味の表現は含まれない。中華では「麻」となり「辛」と分けて考える。中華料理の「麻辣」は、辛さの伝統のあまりない日本では何と表現すればよいのか。日本のワサビが苦手な外国人も多いが、文化とはそういうものだ。

823 実山椒

山椒11月6日ともなればいつもの年なら初雪もあるのだが、日本の東にある大きな高気圧のおかげで暖かい日が続いている。寒くなる前の庭じまいのチャンスだ。山椒の実が夕日を浴びて赤い。道南はサンショウの北限。初夏の青い実は冷凍にして、赤くなった実は乾して黒い種子を取り除いて使う。北海道だから身欠きニシンや干鱈とコンブの佃煮をたっぷり作る。もちろん四川麻婆豆腐も。

821 エゾイラクサ

エゾイラクサ数年前思わず握って痛い目に遭ったエゾイラクサを思い出し、秋枯れの茎を取りに出かけた。河原は9月18日の台風18号の出水で荒れ、なぎ倒され砂に埋もれていたが、なんとか数十本確保できた。再生していた葉は対生なのでエゾイラクサ。乾燥して繊維を採り、春までに撚って細紐にする予定だ。繊維は細く、撚りあげると強靭だ。昔、アイヌの人たちはテタラペ(白いもの)という布を織り、衣服を仕立てたという。

820 日和山健在

登別日和山登別温泉の大湯沼。あたりに響く噴気の轟音は日和山(377m)の山頂近くに開く噴気口からの音だ。噴気の状態から天候を判断したのが名の由来という。最新の活動は200年ほど前で、大湯沼、地獄谷も含め登別火山という名を持つ。温泉やランドスケープとしての観光で有名だが、活動中の火山だということを忘れてはならない。ガンコウラン、イソツツジなどの高山植物の群落もある。

819 色取り昭和新山

昭和新山の秋私の好きな上館山の尾根道からの昭和新山。この農道は5kmも続き、人工物がほとんど目に入らないので冬季を除いて良く通り、有珠山、昭和新山を心行くまで眺める。今年はこんなビビットな風景が飛び込んできた。景観用のほか緑肥としても優れ、菌根菌が良い働きをするという。鋤き込んでそのまま緑肥にするのかと思っていたが、隣接する畑の様子からそうではないらしい。

818 悠久の北海道

支笏湖広葉樹林樽前山麓からの落葉樹林帯。紅葉が始まっていて、赤いのはカエデ、ナナカマド、黄色はシラカバ。白く見える樹は早くに葉を落としたドロノキだろう。トドマツの緑も見える。はるか20km向こうには苫小牧市が浮かぶ。その奥は勇払の大原野と日高山脈だ。 晩秋の気配の中を雲の影が横切る。気宇壮大な風景である。100年前、開拓に入った人々の不屈の覚悟を思い起こす。