113 1977年8月7日

今朝の有珠山と77年8月7日の噴火 今朝の有珠山はよく晴れた。35年前の今日、有珠山の山頂で噴火が始った。77年、78年と大きな噴火が続き、大きな銀沼火口が残った。地殻変動は82年まで継続し火口原の上に180mの潜在ドーム有珠新山が隆起した。私は偶然に札幌近郊から見たが80km先の青空の中のモノトーンの噴煙は異様だった。2000年にも西山山麓で噴火したが噴火の規模は大きくなかった。次の噴火までの折り返し点は過ぎている。

112 マシジミ

マシジミ 夏の暑い日には洞爺湖の水につかる。私の場合、殆どスキンダイビングで各地の海などで過ごしてきたから、ここでもマスク、シュノーケル、フィンのセットが無ければプールと同じように溺れそうになる。澄んだ水の中、暗い湖底へと続く岩壁を潜るのは爽快だ。水深3mでマシジミを見つけた。コイが食べてまとめて吐き出した跡がいくつもある。若い殻は黄緑色、卵胎性。北海道各地で採れる美味しいヤマトシジミと違い、純淡水産二枚貝だ。

110 火の山の森の儀式

森の儀式 火の山有珠山で「星祭」が開かれている。ロープウェイを使った夜のイベントだ。先だって白老コタンのエカシによる「山の神に祈る、山の祭り」ヌプリコロカムイノミの伝統儀式が行われた。ステージの後の森は1977-78噴火後に回復したトドマツ、エゾマツ、ドロノキの森。今ではこんなに深く緑濃い森だが、噴火後はすべての植生が失われて、リセットされた後に再生され出来上がって「30年の森」だ。噴火という大地のくしゃみ程度の出来事で一つの小さな破壊がおこり、命の再生が当たり前に進んでこの景観が作られた。屹立する岩は旧「土瓶」の本体ドームの崩れ残った名残りの岩峰。次の噴火でこの山はどのように形を変えて行くのであろうか。この夜、寒く霧に覆われた夜空だったが、外輪山から見下ろす伊達の街の夜景は噴火など想定外の静けさで、足元に広がる星空を思わせるほど見事だった。

105 昭和新山赤煉瓦

昭和新山赤煉瓦 新山のドームがせり上がり始めたのは1944年12月。激しい噴火の続く第3から第7噴火口に囲まれた丘からせり上がり始めた。それまで地表近くにあった山地、畑、河原の砂礫はせり上がる900℃以上の高温のデイサイトにしっかりと焼かれながら煉瓦となってドームを作りあげた。デイサイトの色は灰白色。だから、昭和新山の赤い色合いは赤煉瓦の色。7月20日、18時20分。

95 大有珠の岩塔

大有珠の岩塔 有珠山にロープウェイで登るとまず目につくのが大有珠の岩塔。1977年噴火前は大きなドーム状だったが、噴火に続くオガリ山の隆起で大きく変形して、揺れに揺れ崩れに崩れて残ったのがこの岩塔群。いずれも無名の岩。写真左上の赤茶けた部分は、159年前(1853年、嘉永6年)の大有珠ドーム誕生と同時に持ちあがった素焼きの煉瓦。昭和新山の赤いドームと同じ由来だ。

91 幕の下りないエピローグ

有珠山火口群 有珠山の南外輪を歩いた。ホウノキの若葉の向こうに1977-78山頂噴火の 火口群が見える。12000mに達した大噴煙を立ち上げたのは、写真奥の小有珠の手前にできた今は無くなってしまった火口。その後の一連の噴火で手前の銀沼火口群が誕生した。もっとも激しく見える噴気はI(アイ)火口で300℃近くもあり、35年前の噴火の余勢をかってまだまだ地殻のエネルギーを誇示しているようだ。エピローグの幕はまだ下りてはいない。

89 興奮冷めやらず

西外輪の地温 2000年の有珠山噴火は前兆地震と山頂に近い西外輪の地表にできた亀裂の発見で始まった。しかし、実際の噴火は西山山麓の国道脇から始まった。西外輪には最初にヘリから目視された亀裂の跡がまだ残っていて、地温が地表から50cm下では90℃もある。12年経ってもまだ熱源からの補給が続いていて、地面の火照りは収まってはいない。(有珠山学習登山会にて)

88 急流が住処

カワガラス 速い流れを逆手にとって、数居る野鳥の世界でここを棲家とするカワガラス。今様にいえばニッチを生業に生き抜いている時代の寵児だが、もともと生きものの世界ではこれがあたりまえ、こうやって種は進化してきた。清流の中でカワムシなどをエサにして、せわしなく生き切る命。つきあってみると番だった。巣はどこに?北の火の山、羊蹄山の伏流水に見つけた野生。

87 背中合わせの

有珠山 梅の名所で知られる壮瞥公園からの有珠山遠望。この山は100年の間に4回の噴火があり、激しい噴火とともに新しい山や丘陵を形成した。2000年噴火の西山山麓火口は有珠山の向こう側だ。実にのどかな風景だ。この地域の多様で恵まれた景観と産物は、ここの火山地形と多分につながっている。恩恵の反面、噴火に伴う災害も身近だ。過去の経験から得た知識を大切に生かし、次の噴火に備えねばならない。

86 再生したシラカバ

シラカバ 有珠山に面した昭和新山の登り口に、樹幹がよれよれになったシラカバがある。1977年からの有珠山頂上噴火の際、粘土鉱物が含まれた火山灰の被害にあった樹だ。降雨と混じった泥滴が枝先に粘着して固化し、重く垂れさがったけれど、若かった樹はそれでもなお復活して成長し、毎年葉をいっぱいに茂らせている。我々に元気を与えてくれる再起の標本木だ。