860 アルトリ岬

アルトリ岬有珠湾の南にあるこの岬は、成層火山であった有珠山が山体崩壊し、岩屑雪崩となって一気に噴火湾に落ち込んだ名残である。山麓に残るいくつもの流山(ながれやま)や、有珠湾の入江も同時に形成された。沖合数㎞まで延びる水面下の岩礁も手前の黒い岩もその一部だ。岬には福田茂夫火山マイスターのアルトリネィチャーハウスがあり、この地の自然環境について学ぶことができる。

859 有珠善光寺

有珠善光寺開基は平安時代にあるという。寺号は慶長18年(1613年)にさかのぼる。徳川家斉の時代1804年に、様似の等澍院と厚岸の国泰寺と共に蝦夷三官寺に指定された。1822年(文政5年)の有珠山噴火では火砕流が寺の背後まで迫り、百余名もの死者が出た。茅葺の屋根を持つその構えや、創建以来の歴史、有珠山噴火とのかかわりの地方史からしても、北海道では当代きっての古刹だ。

858 雪の足跡

雪の足跡壮瞥滝下、沢伝い水伝いに続く足跡。キタキツネと、カルガモだろうか水かきの付いた四角い足跡もあった。連れ立って歩いたとは思わないが、雪の様子からして昨日から今日のことだ。すれ違いがあったかもしれない。少し上流には羽毛の散らばった古い修羅場の跡もあった。陽の光も強くなっているし、湧水際の緑の草の色もある。やがて来る春へと繋がるいのちの脚跡。

857 旧胆振線・上長和駅

旧上長和駅伊達紋別から倶知安までの国鉄胆振線は1986年に廃止された。全線単線で勾配はきつく、太平洋戦争時代の鉄鉱石の輸送、昭和新山噴火時の地盤の隆起による迂回敷設など、時代に翻弄された路線だった。伊達市部分はサイクリング道路として残されている。この駅は公園となり、冬季は歩く人とて少なく、直線部分だった軌道の跡と、改造された駅舎とホームに少しの面影を残している。

856 エゾシカの革

エゾシカの革ブログ846のエゾシカの皮がなめし終わり、半乾きながらこのようになった。脂肪や結合組織の取り残し部分が厚くなって残っている。なめす前にするべき作業だった。この時点でのスクレーパーは役に立たないので、指先で摘み上げて黒曜石の石刃や破片の刃で丁寧に削ぎ取る。切れ味は文句なしだ。はるか遠い昔の、ご先祖さんたちの真剣な眼差しと後ろ姿が浮かんできた。

855 スギとトドマツ

スギとトドマツ壮瞥川が昭和新山に遮られ、新山沼になるあたり。写真中央の褐色がかった針葉樹がスギの林で、その下にはシラカバ。その上の濃い緑がトドマツ。スギ林は道南にかけて多くなり、ここ以北はトドマツ林が多い。その分かれ目がこの辺りだ。春ともなれば本州ではスギ花粉のニュースで賑やかになるが、北海道ではシラカバの花粉アレルギーが話題になる

854 山眠る・有珠山

厳冬の有珠山南東側からの有珠山山頂部。本格的な冬となった。山頂は雪をかぶり樹々は葉を落とした。山は眠っている。草津白根山が噴火し、続いて蔵王山も噴火警戒レベルが1から2へと引き上げられた。2011年の東日本大震災をきっかけに、日本列島の火山は活動期に入ったといわれている。今年、来年、この山は静穏を保ったままだろうか。次の噴火への折り返し点は過ぎたともいわれる。

853 草津白根山噴火

草津白根山噴火 23日、草津白根山の本白根山が噴火し、一人が亡くなり11人が重軽傷を負った。お見舞い申し上げます。噴火は水蒸気爆発と発表された。「噴火速報」が無いまま噴火し、即、噴石による被害ということになった。TVではライブカメラによる噴石が落下する様子が放映されており、そのあとで「火山活動レベル3=入山規制」が発表された。

2014年の御岳山では死者・行方不明者63人の大きな被害があった。日本では火山への登山者が多いうえ、火口の近くに観光施設がある。白根山から5kmさきには有名な保養地、草津温泉がある。有珠山周辺も同じく観光地でもあり、現在48名の洞爺湖有珠火山マイスターがいる。その一人として、今回の噴火は身の引き締まる思いがする。噴火の時期、場所、規模は予測できない。噴火が起こったら先ずは避難を優先するのがマイスターの役割だ。そのさき何をするべきなのか。勉強会や研修会があり、そこで学んではいるが、避難先での錯綜するであろう情報の的確な判断と、仲間との連携した行動が必要だ。

852 窓の雪

窓の雪雪が少ない冬と思っていたら、あに図らんや、つじつま合わせの20㎝近い降雪。おまけに昼近いというのに-8℃だ。昨日一日、南東の風に乗って吹雪が荒れた。午後には寒冷前線の雷一発で、冬のいつもの季節感の目が覚めた。自然はいつだって予想外。壮瞥の街はすっかり雪に覆われて、真っ白けっけの厚化粧。商店街は歩道の確保に総出の大仕事だ。

851 カワアイサ(雄)

カワアイサ(雄)伊達市の街中を流れる気門別川は昨年の出水で荒れたまま。川原に降りたらカモが慌てて飛び上がった。数コマを収め、調べたらカワアイサ。私にとって初めての確認。身体が重いため、飛び立ちには助走が必要とあった。こともあろうに、眼の前を通過した。ツートンカラーに赤い嘴と脚。目を見開き、必死の面立ちは心に残る。野生はいつも真剣だ。一心不乱に生きている。美しい。