192 アカミヤドリギ 投稿日時: 2013年2月14日 投稿者: nizaemon 厚い雪雲がひと塊り日本海から飛んで来て、午後2時から3時までの間に5cm程の雪を積もらせた。春めいた陽射しだったのに、昼ドラ一本分、気を抜いた間の午後の一発芸。お陰で、ナナカマドのヤドリギも淡雪を纏ってこの通り。クリスマスならお似合いの風情だが、この時期になると赤い実も腹の空いた野鳥の腹に収まって、もの足りない。でも、ひとしきりいい雪だった。
184 透明な惑星 投稿日時: 2013年1月22日 投稿者: nizaemon 始終北西の風が吹く北辺の不凍湖にも和やかな日差しの時があって、湖岸に出ると、眼につく光あるものすべてが透明に見えている。ぎりぎりまで下がった水温は密度を増し、粘性さえ感じ、そのあたりでは時間の経過までとろみを帯びてくる。大気は香りを持ち、吐く息さえ甘い。存在するものすべてに意味を感じる。
183 春を待つ 投稿日時: 2013年1月21日 投稿者: nizaemon 洞爺湖の湖岸近くの湿地に、一つだけの萌黄色を見つけた。ミズバショウの新しい芽だった。雪景色の中のくぼみの水たまり、命あるものは何も見えず、何も動かず。樹の枝から落ちた雪片を載せ、淡く青空を映す縮緬皺の薄氷。春はまだ遠いのか、もう近いのか。あらゆるものが動き出し、軟らかな緑色の風が流れる「その季節」をひたすら待っている。
178 黒と白 投稿日時: 2013年1月5日 投稿者: nizaemon 1月4日、室蘭イタンキ浜。北西の風が強く、-5度。干き潮の潮溜まりの海水が凍り始めている。露出したテトラポッドの潮間帯の上の飛沫帯。イワノリが貼りついた上にさらに氷が纏わりついている。このノリ、細長さからウップルイノリだろう。古代から日本海で知られた北国の海の幸だが収穫はこれから。4月になると枯れて流れ出す。芯まで冷えたが昔をしのぶ砂浜に癒された。
177 春よ 投稿日時: 2013年1月1日 投稿者: nizaemon 凍りついた足もとに、何かしら軟らかな気配がして、そこにはイヌコリヤナギの低い株があり、今にも動き出しそうな芽があった。オリーブ色の曲線を描く若い枝と、膨らみつつあるバーミリオンの花芽は、花綵となってたおやかに繋がり、滴る氷はまるで軟らかなゼリー菓子のようだ。ほんの一瞬だったが、懐かしい春の匂いがした。 「春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき、、、」
174 極寒のラベンダー 投稿日時: 2012年12月23日 投稿者: nizaemon -8℃。バス停からの帰り道、近所の庭の端っこにあったラベンダー。ローズマリーかと思ったが、香りを嗅いだら、確かな豊潤な大地の香り、ラベンダーだった。寒さには強いとは思っていたが、雪に埋もれているならわかるが、寒風に晒されて春を待つ。神奈川にいた頃、ラベンダーを数株植えたが、夏の暑さには耐えきれなかった。我が家の庭にも植えよう、あの薄紫の花穂で何を作ろうか。寒中に庭仕事を考えた。
173 寒風のケサランパサラン 投稿日時: 2012年12月17日 投稿者: nizaemon 12月、北国の寒風に乗って幸せの種子を運ぶガガイモ科ガガイモ属のガガイモ。冠毛は長く軟らかで、斜めの陽射しの中を緩やかに飛ぶ。ケサランパサランは幸福をもたらすと言うが、この世の幸がこのように軽いのもまた真実。人の運不運もまた、糾える縄のごとく、吹く風に弄ばれながら漂泊し続ける。吹き溜まりで絡まりあって、大きく膨らめば望外の喜びだが。
172 目からうろこ 投稿日時: 2012年12月17日 投稿者: nizaemon 以前から全体像がいまいち把握できていなかった針葉樹、ドイツトウヒ(左)とエゾマツ(右)。先日の湿った雪と大風で樹の根もとに枝ごと落ちていて、樹形、樹皮、葉、球果の一連の関連できた。その結果は一目瞭然、はたと膝を打ってすべて納得できた。葉の表裏から球果の鏻片まで、混乱していた事象は雲散霧消。物事ってすべてこうなのだろう。
168 地の砂糖 投稿日時: 2012年12月5日 投稿者: nizaemon ここはR453に並行して北上する伊達警察署から立香峠(仮称)への農道。長流川の左岸の10万年前の洞爺湖カルデラの火砕流台地だ。ここは有珠山、昭和新山を眺めるには絶好の地で、人工物もなく火山の全体像が間近に見える。今は砂糖大根(ビート)の収穫の時で、噴火湾近くの工場で砂糖(甜菜糖)となる。火山灰台地が育てた砂糖というわけだ。ジオの産物、ジオの甘味だ。噴火は災害ももたらすが、その麓では人はその恩恵にもあずかる。
167 時の形 投稿日時: 2012年12月4日 投稿者: nizaemon 洞爺湖の湖岸を取り巻く林は国有林。奥行きは狭いが伐採を逃れた原生林だ。寒気がゆるんだ合間を縫って太い木を訪ねて歩く。この樹、初めはこれほどの形には見えなかったが、近づいて驚いた。四、五十年前、この樹に何かがあった。なお命をつなぎ、形成層は木質と樹皮を肥厚させ続けた。風雪に耐えてこの異形となり、樹は何も語らない。ゆっくりと春の芽吹きを待とう。