634 毛深いぞ・オシダ

オシダ根雪が解け、落ち葉の中からオシダの雄大な新芽が持ち上がる。鱗片は春の陽で黄金色に光り、猩々の指を見るようだ。束生する葉は実に見事で太古の羊歯世界を思わせる。形が良い常緑多年草なので庭に数株植えてある。堅固な地上部は年を経て年々持ち上がり、このままあと数十年も成長してゆくとヒカゲヘゴのような木性シダになるのではと勝手に想像してしまう。北国シダ幻想。

632 緑の縄文

多摩市縄文中期竪穴住居ここは多摩市、東京都立埋蔵文化調査センター。多摩ニュータウン建設時の遺跡群を調査した拠点だ。3000haに1000個所の遺跡が点在しているという。都市の間に残された照葉樹のシラカシ、落葉樹のコナラなどの混交林に縄文中期の再現竪穴住居がある。中に敷石があるのが特徴だ。なんと緑の濃いことよ。一週間ほど前、まだ緑には早い北海道南部の北黄金で同時代の竪穴住居を見たばかりだ。考えさせられる。

630 雪の下の緑

秋播き小麦秋蒔きの小麦が半年近く雪の下で過ごしてこんな若緑に。樹の芽はまだ硬く、昭和新山の屋根山を覆うドロノキの白い枝もまだまだの感じだ。それなのにこの緑。ただ眠っていたわけではない。寒風には晒されはしないが、カビやバクテリヤと戦い、根を広げ葉を伸ばし、頑張り抜いての緑だ。この地方の言い伝えでは、向こうの山有珠山の雪がなくなると何を蒔いてもよいという。

627 地球岬・ポロチケウ

地球岬ポロチケウ(poro-cikep 大きい断崖)の上の展望台から150m下の海岸を見る。春に海はのたりと穏やかで、青く明るい空が映っている。岩礁には濃褐色の海藻が繁茂している。コンブ、ワカメ、マツボ、フノリ、美味しい海の幸だ。海の植物にとっては冬が成長期。海水温、気温が上昇して海藻が流れ藻になるあたり、入れ替わって断崖に纏わる樹々や草の芽が若葉となる。

626 ハシバミ・ヘーゼルナッツ

ヘーゼルナッツナッツを庭に植えようと思った。大木になるカシグルミはやめ、ヘーゼルナッツを2品種4本植えて8年経った。雄花である尾状花序が伸展している。ルーペで苞の下に8個の葯を見つけた。いくつもの雌花はあたかも花弁のように濃い紅色だ。ハンノキやカンバ類と共通らしい。雌花の中身も見たかったが勿体ない。早く実を手にしたい。ヘーゼルナッツでヌガーを作るのが夢なのである。

624 サクラマスのマリネ

サクラマスのマリネ旬のサクラマスはヤマメの親。高級魚なのだがこの界隈では三枚におろした大きな上身が600円くらいで魚屋に並ぶ。塩で締めてやはりご当地自慢のシロハナマメとで主役二人の豪華版マリネを作った。モルトビネガーはそのまま穀物酢、歯触りと色取りの良い脇役の野菜を添える。スパイスは多めのブラックペパー、ハーブミックスと鉢植えの月桂樹。ワインかな、それとも日本酒?

621 ハリギリの短枝

ハリギリの短枝昭和新山のゲートから少し登ったところでハリギリのあずき色の芽を見つけた。芽は10層くらいの数を読める典型的な短枝の先端についている。面白いのは短枝の基部から水平両方向に延びる根状の10㎝位の隆起線。まるで幹に巻き付いているようだ。同行の植物に詳しい仲間も初めてだという。幹の下部から上までおよそすべての短枝がこうだ。短枝の基部が10年分位の幹の肥大に伴って延展していったのだろうか。

618 エゾヤナギ

エゾヤナギ近所の団地に若く樹形の良いヤナギがあって、赤みを増した枝先に白銀色の猫毛(果穂)が光っている。この個体は黒松内産の幼樹を移植して7~8年と説明を受けた。樹の下の落ち葉の中に大きな托葉の付いた葉を見つけた。持ち帰って手持ちの腊葉標本と照合したら、まさしくこれはエゾヤナギ。大ぶりできれいな猫毛の果穂は水に差しておくと長持ちするので、花序の観察ができる。

616 新しい顔

フクジュソウ裏庭のリンゴの樹の下の根雪に円い土の輪が開いて、今年もフクジュソウの蕾が顔を出しました。我が家の今年初めての花です。数えたら五個、まだ雪の下にもあるかな。あと、二日もするとパッと金色に光輝くパラボナの曲面が見られるのだが、こうやって顔を出してくれた辺りが何とも嬉しい。ことしの庭の花たちの先駆けだ。どんな庭が出来上がるのだろう。

615 壮瞥シードル

壮瞥シードル我が家の小さなパーティで「Cidre de sobetsu」がお目見え。この町特産のリンゴ100%、アルコール5%の軽いお酒だ。アペリティフには丁度良い。今考えているお似合いのレシピは、壮瞥特産のシロハナマメとサクラマスのマリネ。大きくふくよかな白いハナマメと、薄塩で締めた今が旬で色の乗ったサクラマスを半日マリネする。メインディッシュは奥洞爺牛にするか。いかが?