初夏の風が吹き渡る林にクワの実を見つけた。陽の透ける葉裏の黒い実はちょうど食べ頃で、甘さとかすかな酸っぱい味が懐かしい。口のまわりや衣服まで赤紫に染めながらも子供たちはおやつ代わりに摘んで食べたが、いまは誰も食べない。樹皮からはものを簡単に束ねるくらいの繊維が得られるし、材質は強靭で道具の柄や、杖として日常使う最上の棒っきれとなる。身近なお宝だったのに。
「植物」カテゴリーアーカイブ
655 待ってました!
洞爺湖畔で偶然サンショウの樹を見つけたのが10年前。毎年若い葉を摘み取り、会津本郷窯のニシン鉢で身欠きニシンの美味しい会津漬けを楽しんでいたが、この樹は雄株で実は付いていなかった。サンショウの分布域の北限は北海道南部。洞爺湖中島には立派な群落がある。室蘭の中国料理店の庭に良く育った樹を見つけた時は実に羨ましかった。
爾来、苗を貰ったり買ったりして植えけど、みな雄株ばかりだった。数年前から育てていたサンショウに雌花を見つけ、小躍りしたのはこの春のこと。今朝、その半分の一握り程を収穫し湯がいて冷凍保存した。塩蔵でも良いという。残りは秋に割れた黄色の殻から真っ黒い種子がこぼれるようになってから収穫する予定。やっと自家の山椒の実で漬物や佃煮の味付け、大好きな麻辣(マーラー)味の麻婆豆腐が楽しめる。
654 大南風・おおみなみ
650 赤銅色に
647 湿原の風景
646 シコタンタンポポ?
シコタンタンポポは北海道の道東から十勝、日高、胆振の海岸に分布域を持つという。日高、大楽毛の国道沿いにひときわ目だって咲いていた。橙色がかった大きな花冠は「5㎝を超す」と言われているが、7㎝もの大きさの花を見つけ感激した。室蘭イタンキ浜の個体(ブログ502)と合致するかどうかはさておき、このシコタンタンポポ、北辺の海辺を棲家に盛大に生きている。
だが、この地域で、しかもややオレンジ色が濃く、大きな花冠を持つからシコタンタンポポと同定したが、わたし自身、この種そのものの形態的な特徴を確認しての判断はではない。外総苞片の厚さ、形、色など、この地域でのエゾタンポポとの明確な差異を挙げられないし、生育環境でのばらつきが大きすぎて整理ができていない。
タンポポを訪ねてやって来て、黄色い曠野に踏み込み、道を失ってしまった。困ったものだ。のんびりタンポポのお酒でも造ろうか。ね、ブラッドベリー爺さん。