909 Snow-In-Summer

Cerastium sp.噴火遺構の荒れ地でこの花を見つけた。オオバナミミナグサ、タカネミミナグサなどと同じ Cerastium属。梅沢図鑑、佐竹義輔らの平凡社図鑑にも近い種がたくさん載っている。気が付くと、ご近所さんの庭や石垣でも咲いている。この爽やかな純白さはひときわ目を引く。園芸種で調べると Snow-In-Summer の名でガーデニングの世界的普通種。名はナツユキソウ。この際、標準和名はともかく、是非我が家の庭にも一株。

908 シコタンタンポポ

シコタンタンポポ昨年はこの場所には一株も確認できなかった。2015年には10株ほどあったが、その後見つからず、今年はこの1株だけ。ほぼ同じ場所に復活してくれた。シロヨモギ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、コウボウムギなどの海浜植物に混じって、海の飛沫のかかる場所に咲くニホンタンポポだ。この時期、トッカリショ、マスイチなどの海の断崖にもしっかりと根を下ろしている。

902 クワの実

クワの実相模川中流の土手を歩いていたら、足元一面、クワの実が落ちていた。手を伸ばして枝をひき寄せる間にも柔かい実は落ちる。この地方は昔から養蚕が盛んだった。店にも出ず保存もきかないから、懐かしい味をと思っても通りすがりに摘み取って食べるしか手はない。ほのかに甘く、ジャムにすると鮮やかな紫色と、種子の感触が個性的だ。ヨーグルトやアイスクリームとベストマッチ。マルベリーの名で流通している。

900 輝く緑

緑の昭和新山一斉に樹々の新芽は芽を吹いた。昭和新山の赤いドームを包み込んで、軟らかな緑の風が吹く。鳥は歌い花は開き、生き物すべてのいのちが始まる。若い葉は虫を誘い、林床のコケは膨らんで地虫は蘇る。70年たってこの山は、より深い森へと歩み出す。ハリギリは太くなり、ミズナラも増えてきた。ミズキはぐんぐん成長しホウノキも健やかだ。50年後の深い森と赤いドームを想像する。

898 室内のサクラ

室内のサクラ有珠山西山山麓の噴火口から600m離れた旧洞爺湖幼稚園。噴石で穴の開いた天井からの雨と窓からの光を得て若いサクラに花芽が付いた。小鳥の糞からの発芽だろう。光を求めて窓から伸びた若い枝は、落ち葉を貯めて腐った床を土壌に置き替え、すくすく育って青空へ向かう。白い花で、カスミザクラだろうか。数年もすると、室内から枝を伸ばしたサクラを外から見物できるだろう。

897 萌芽更新

萌芽更新有珠山西山火口群の山麓散策路で見つけたドロノキ。18年前の噴火でこの地帯は隆起し、それに伴う地溝(グラーベン)の沈下部分がここだ。倒れた樹の根に近い若い枝がすくすく成長して、今では立派な二本の樹となった。動物と違って、悪条件から逃げることはできないが、生を受けた場所で自らの形を歪めても何とか生きようとするいのちのたくましさに感銘をうけた。

896 国道の上の沼

西新山沼この国道旧230号線はこの手前の斜面のまま下って4㎞先で海際の国道37号と接続していた。水が溜まったのは、2000年の有珠山の噴火でこの道の向こう側に火口が開き、70mも隆起して丘になったからだ。18年たち、テフラ(火山の噴出物)で覆われた火口は草地から林へと遷移が進み、国道上には隆起由来の堰止湖。底がアスファルトの天然の沼だ。噴火は思いもよらない多様な生態系を創造してくれた。西新山沼という。

887 ツリガネタケで火口を

ツリガネタケツリガネタケは北半球に広く分布する広葉樹腐朽菌で林内でよく見つかる。硬い表皮の下にはコルク状の菌糸の束があり(ナイフの先端部)、これを乾燥させよく揉みほぐすとフェルトのようなしなやかさを持つ。火打石での着火には必需品であった。イタリアアルプスで凍って発見された5000年前のアイスマンも腰に携えていた。古来からの処方に従い火口(ほくち)を作る予定だ。

886 水辺の緑

春の水辺河原に春を探しに出かけた。林道の先、長流川に注ぎこむ小さな流れに緑の群集を見つけた。湿った土の匂いがする。蘚類や牧草の若芽、それに混じってフキの薹と柔かく小さなフキの葉。セリも見つけた。風も遮られ、爆ぜるような水の音。ハクセキレイの声も聞こえる。窓辺から雪の残る山を眺めていると眠くなる。気分を変えて、こうやって出かけると自分の春に出会える。

884 剪定作業が終わった

リンゴの剪定3月中に整枝・剪定の作業を終えることができた。順調だ。切り口の消毒パテも塗り終えた。リンゴとサクランボウなど合わせて40本の果樹。有珠山の雪がなくなり、カッコウの声が聞こえてくると、遅霜の心配がなくなる。それまで野草の軟らかな芽や小さな花を楽しみ、空にはヒバリ。今年はカミナリシギはやってくるだろうか。爆発するように盛大な北国の春本番を待つのが4月だ。