927 ツタの樹

ツタの樹古い街を歩いていて、こんな風景に出会った。地面から、壁面を一気に這い上がったツタ。でもどう言うわけか途中で切られ、結果としてこの通り。飾り気のない壁面なら、いっそツタに覆われていたら、愛嬌もあったろうに。残念だったのは私よりツタだろう。よく見るとこのツタ、きっと大きく育って、樹になりたかったのだと思う。立派な樹の形をしている。

925 花咲けるシナノキ

シナノキ大きな木になると聞いてはいたが、幹回り186㎝、樹高は15mくらいか、堂々たる体躯だ。三松正夫の「昭和新山生成日記」には、1944年7月11日、熱煙は「湖岸の保安林を倒してさらに湖中に噴き進み」とある。100m離れてハリギリ(センノキ)がある。この2本は、その時の火砕流に耐え残った樹なのだろう。(ブログ220 生き残ったセンノキ)。左奥、有珠山、右は洞爺湖。

924 ビロウドモウズイカ

ビロードモウズイカ春、ここにふさふさとしたロゼット葉を見つけたが、3か月もしたらこんなに成長した。英国の図鑑には Common mullein. Common on dry soils. Leaves decurrent. clothed with soft Wool.と載っていた。小型のハチたちがやって来て花粉団子を作ってゆく。来年は何処に出現か。いまや世界中に広まっているようだが、あまりきらわれ者ではないようだ。世界は撹乱の時代を迎えている。

919 ジューンベリー

ジューンベリーとコムクドリ庭先のジューンベリー(June-berry)、日本名では「アメリカ采振り木」で、白い采配を思わせる花が咲き、その上美味しい赤い実がなる。通りすがりに摘まんで口に運んだリ、ジャムにしたり。絵にかいたような立派な種子があるのだが気にならないのがありがたい。このところ居ついているコムクドリの小さな群れが次々やって来ては丸呑みしている。手ごろな大きさなのだろう。

917 シナノキの花

シナノキの花室蘭マスイチ浜を見下ろす林で、シナノキの花を見つけた。強い風と海霧の影響で樹高が低い。葉がハート形でしかも左右不対象。花梗にはへら状の包葉があり、Tilia(菩提樹)属の特徴だ。牧野図鑑では、シナは「結ぶ、しばる、括るというアイヌ語に由来」としている。知里真志保も同じことを書いている。古くからの手順に従って、生木の内皮から紐を作り湯煮した繊維で布を織った。

916 自然ガーデン

ノイバラ10年ほど前、家のすぐ前の牧草地の向こう側は、カラマツ、トドマツの防風林であったが伐採された。今はヤマグワ、ミズナラ、ミズキ、クリの若木が成長しつつあり、オオイタドリ、オオブキも風に乗りやってきた。この季節はフランスギク、ジキタリスが咲き誇り、ノイバラも満開で、なんとシロハマナスも。短時間のうちに林が再生してゆく。なんと強かで、かつ豊饒なことよ。

915 だまし絵

アカゲラ庭のすぐ近くで野太いドラミング。台風で中程の折れたクリの大木に何かがいる。目を凝らしたが、音の方向は判るが、ちらつく形が定かではない。振り返ってくれた眼でアカゲラと判明した。後頭部の紅色は茂みに溶け込んでいた。木洩れ陽模様の一張羅が、だまし絵を完成させていたのだ。もうすぐクリの花の季節。長い穂状の雄花が見える。秋の豊饒を促す暑い夏はもうすぐそこだ。

914 田園の虹

田園の虹ミルクと卵を買いに家を出たら大きな虹を見た。家のすぐそばのビート畑の向こうに、午後4時の低い虹。 今までたくさんの虹を見たけど、この虹には心を奪われた。この町には森も湖も火山も、川も畑もある。鳥も虫もいる。そしてこの虹だ。この虹を見たくて、ここの町に住みついた。街の人に自慢できるよ。ここにはすべてがそろっている。     2018年6月20日、15:48、壮瞥町滝之町の虹。

913 クズの勢い

クズの根茎アルトリ岬近くの海に面した斜面から、大量のクズの根茎が見つかった。暖地のものにはかなわないが、径10㎝近いのもあった。葛澱粉、葛布で知られていたが、今では高速道、鉄道敷、樹木への害が深刻だ。道央が北限だったが、さらに北上中とも聞く。ヨーロッパのイタドリ同様、北米では日本から持ち込まれたクズの処置に悩んでいる。人類の生活圏の拡大に伴う生態系の撹乱は留まるところを知らない。

911 流された木の実橋

流された木の実橋2000年の有珠山噴火では、金比羅山火口からの熱泥流で水路工にかかっていた国道230号線の木の実橋が流された。木の実橋は87m流され、町営温泉の建物と共に火山遺構として残されている。橋の上には泥流の土砂が残り、コケ類、乾燥に強い草本、ドロノキ、ヤマナラシ、カラマツなどの木本が生育中だ。手前、橋の上の街路灯横の樹はヤマナラシ、その向こうの数本はドロノキ。