1016 回帰するいのち

シロザケ豊浦町貫気別川にあるインディアン水車。川の流れを利用してサケを捕獲する方法だがここでは電動。採捕後採卵され、孵化、放流、4、5年後に母川回帰となる。回帰の生理学的メカニズムは単純なものではないようだ。耳石や遺伝子解析などをもとにオホーツク、ベーリング、アラスカ湾を巡る回遊ルート明らかになってきたとのこと。壮大な旅の最終章。この面構え、ただ者ではない。

1011 エエネソウ

エエネソウ有珠湾の入り口をガードするようなポロモシリ(大きい・島)とモシリ遺跡のありシピタルモシリ(レプタモシリ)との沖合200mの岩、エエネソウ(とげとげのある岩)。海鳥の糞で白く目立ち、Google Earthでも確認できる。潮位が低いので潮間帯の生物が観察でき、見事に成長した粒よりのイガイの群落がみられた。藻類が生育した褐色部分は潮間帯で満潮時には水面下となる。

1008 海から見るアルトリ岬

海から見るアルトリ岬有珠アルトリ海岸ネイチャーハウスの福田茂夫火山マイスターに、この岬周辺を海上から案内していただいた。海岸線から見ると伸びた長い岬だが、沖合からはまさしく島。有珠山の山体崩壊の名残りの「流れ山」だ。有珠山を構成していた岩石がそのまま磯になっている。今は草地だが本来は有珠湾入り口のポロノット(大きな岬)のように、鬱蒼とした樹木で覆われる植生だろう。

曇っていて有珠山が見えないのが残念。海からの有珠山は実に雄大なのだが。逆に、有珠山外輪を歩きながら見るこの起伏に富んだ海岸線は実に美しい。この岬はアイヌ語では「イソキソキ」=「頭を・打ち付ける・もの」、つまりキツツキを指すという。アルトリの名は画像右奥に見える海岸のあたりを指し、有珠コタン(集落)から見て「遠い方の浜」の意味だという。(森・水・人ネットHP参照)

999 旨いぞ、ボタンエビ

ボタンエビしけの影響で延びていたエビかご漁が解禁、室蘭産がスーパーで入手できた。ボタンエビ、和名はトヤマエビ。北海道では噴火湾産がメインだ。身が締まって生きがいい。食わない手はない。刺身は甘い。鉄砲串を打った塩焼きは香ばしく、丸ごと食べる。刺身はワサビよりは裏庭のホースラディッシュか、焼き物にはタイムか、などと考えた。1匹100円見当。旬を食べると長生きする。

996 凍るアルトリ岬

アルトリ岬明け方は-15℃前後。海は凍らなかったが、岩の飛沫は氷柱となった。-5℃の向こうにアルトリ岬。岬もこの岩も有珠山の山体崩壊の名残り。崩壊が起こった年代が、もし仮に1万2000年を遡り、最終氷期と重なる時代ならば、海岸線は彼方の沖合だ。有珠山の崩壊もさぞ壮大なものだったろう。アルトリ岬は大きな流れ山の頂上部分かなどと、すべてが凍てついた風景の中で考えた。

988 旅の終章

旅の終焉豊浦町の貫気別(ぬきべつ)川河口でハシボソガラス、オオセグロカモメが鮭の朽ちた骸を啄んでいる。オジロワシも見える。流れには襤褸布のような魚体が引っかかって揺らめいている。この川で孵化し、北太平洋を回遊してきた強者達の終章がこの一幕だ。故郷へ帰って産卵し、鳥たちに食われ、土へと還る。この川の上流にはインディアン水車もある。いのちの輪廻が見える。

981 光るいのち

ニシンのうろこはるかむこうの銀河の光芒だろうか。これはニシンの鱗。すべての色を吸収しかつ反射し、私の指先で陽を照り返えす。近くの港に揚がり、俎板に残った直径10mm、数十枚の生臭い鱗だ。燦然と輝くミクロの虹の色。地の闇に輝くオパールにも似るがこれは命。人知れず、自らに発するいのちの輝き。無辺の海の暗闇にさんざめく燐光。美の神は細部に宿りたまひぬ。

979 ニシンの酢漬け

ニシンの酢漬けいいニシンを見つけ躊躇せず買った。一尾0,5kg、体長40㎝の立派な男振り。輝く鱗が残っている。機会を逃さず塩で締め、酢、塩、砂糖、玉ねぎ、人参、スパイス、ハーブで酢漬けにした。参考の北欧レシピでは young herring だが、この際たっぷりと戴こうではないか。白子は濃い味の醤油煮とし酒の肴に。写真の2匹はフィレにしてしっかり冷凍、二日後には刺身となる。旨いぞ。

978 地球岬灯台

地球岬灯台灯台を見下ろす展望台に立った。雪雲の合間から陽がもれたが氷点下の気温。黒く沈む海面はいかにも冬の色だ。アイヌ語のチケウは断崖のこと。岩壁は水冷破砕溶岩で、灯台を見下ろす平たん部は海底火山の山頂部との解説を聞いたことがあり納得した。ガラス越しに背丈ほどもあるフレネルレンズが見える。灯火高は海面から131m、毎30秒に2閃光、光の到達距離は52kmという。

958 燻製を作った

ベーコンを作る市販のベーコンが実に不味い。地元の旨いバラ肉3本に天日塩をたっぷり刷り込み、冷蔵庫で5日間塩漬。スパイスは粗びきペパー、ミックスハーブのみ。5時間水に浸けて塩抜きし、1日乾燥。65℃まで温度をかけ燻煙は4時間。料理に使える上出来のベーコンができた。ことのついでに地元の魚も燻しあげ(上段)、途中で取りだした北海道産プロセスチーズもごらんの通り(下段)。