1066 命の軌跡

コウラナメクジ2000年噴火の噴火遺構を探索する人のみが歩く西山散策路。数日前の雨に洗われたアスファルトにいくつもの白い筋を見つけた。数十㎝の徐々に太くなる何かが這った痕跡。その端にやっと見つけたのは黒くカチカチの干乾びたナメクジの死骸だった。乾いたアスファルトに上でその命は終わってしまった。色から外来種コウラナメクジだろう。多様な自然の中の、生きた証しとその死。

1065 2020年の梅仕事

梅仕事7月28日に収穫した豊後ウメ、9㎏を外割15%、1.3㎏の天日塩で40日間塩漬けをした。9月6日から笊に並べて三日三晩の天日干し。梅酢も甕の中で旨みを増す。今年の甕も洗って並び、役者が揃った。 盛んだったノウゼンカズラの花はもう無いが、同じ色のナスタチウムはまだ残る。夏も終わり、秋の気配の昭和新山、有珠山が肩を並べる。昨年の梅干しは一年経っておいしくなった。

1064 ミミズの溜め糞

ミミズの溜め糞裏庭のゴルフボール大の土の塊が気になっていた。やっとわかった作り手はミミズ。で、これは糞。ここの土は有珠山の火山灰が主だが、これを有機物ごとせっせと食べ、団粒構造にしては排出してくれる。昔読んだダーウインの中に、ミミズの糞は数百年で遺跡の石を地中に取り込んでしまうと書いてあった。土壌を攪拌し改良してくれる力強いミミズがたくさんいてくれるということだ。

1059 北のサンショウ

北のサンショウ庭のサンショウの枝を整理するからとの連絡を受け、笊を持っていそいそと出かけた。一抱えほどの実の付いた葉ごといただき、薫り高い実を収穫した。冷凍保存し、ゆっくり関西風コンブの佃煮、ちりめん山椒を作る。もちろん麻辣の麻婆豆腐に担担麺、棒棒鶏。さらに乾燒蝦仁は大好物。たっぷりと楽しめるぞ。北限のミカン科サンショウ属。洞爺湖中島には見事に繁茂する地域がある。

1058 ハマナス

ハマナス海からの明るい風が吹いた瞬間、ハマナスの酸味のある強い香りが脳ミソを駆け巡った。私が育ったのもこのような海岸、その時の砂浜の流木の風景と甘い爽やかな匂いを思い出す。匂いとともに記憶が鮮烈に蘇るのは、生命にかかわる素直で直截的な感覚だからだろう。匂いは思い出も連れてくる。 室蘭イタンキの鳴り砂の浜には、太古からの風景と海浜植物が今もなお残されている。

1056 翔べなかった日

コクワガタ薪にしようと積み上げていたサクランボの朽木を焚火台で燃やした。翌日、燃え残りの中からすっかり炭化したコクワガタを見つけた。脇には黒焦げの幼虫も。すまん。かわいそうなことをした。おまえたちのこと気にも留めていなかった。凍てついた冬を二回耐え、やっと成虫となったはずだ。虫に落ち度はない。不条理な話だ。飛び立とうとしていた空は高く、吹く風は緑なのに。

1055 村界滝谷の外輪溶岩

村界滝谷の外輪溶岩2万年前、洞爺カルデラの南縁に誕生したのが有珠山。噴火初期の流れやすい外輪山溶岩は、洞爺火砕流堆積物の上を覆った。地質図にはこの谷の奥の外輪山溶岩と、その下の火砕流層が記載されている。地表を流れる雨水はこの沢に流れ込み、急流や滝を作り、長い年月を経て徐々に後退してこの谷を作ったのであろう。仲間の提案で古くからの地名を取り「仮称・村界滝谷」とした。

1054 新しい沼

2新しい沼000年の有珠山噴火では、隆起によって板谷川上流が堰き止められ、旧国道230号線上に西新山沼が誕生した。この隆起では別の支流にも新しい沼が誕生している。下草が藪を作らぬうちにと、地形や植生を確認するため春の穏やかな日を選んで出かけた。二つの小さな流れ込から始まり、断層群により堰き止められた沼尻まで探索した。左上の尾根筋が地熱を持つ地帯、その奥が西山。

1053 壮瞥公園のウメ

壮瞥公園のウメ洞爺湖から流れ落ちる壮瞥滝の上にある壮瞥公園のウメ。いつもならこのウメの開花を待って人々が押し寄せるのだが、今年はCovid-19の感染予防とのことで登っては行けない。梅越しに洞爺湖を一望し、その向こうの残雪を頂いた蝦夷富士・羊蹄山。極め付きの風景なのだが。お蔭で今年は逆方向から、300mmレンズを使ってのお花見と相なった。咽るような香りを嗅げないのが残念。

1052 キツツキの食卓

キツツキ食痕洞爺湖畔、キツツキが食べ散らかした木くずを撮っていたら、「写真ならこっちがいいよ」と小さな女の子が教えてくれた。啄んだ孔の奥、春の光を受けて朽ちた樹の木部に虫の見事な食痕がみえた。「眼がいいのだね、君は」。気が付かなかった。キツツキの狙いはこれだったか。昆虫だと思うがそれから先は不明。食卓についたのはアカゲラだと思うが姿は見ていない。樹はアズキナシ。