813 シータテハの秋

シータテハ秋になって誰も遊ばなくなった裏庭のブランコにシータテハが止まっていた。似たチョウのキタテハはこの地方にはいない。裏面のCの斑紋を見ようとしたが、暖かい陽ざしの中、快活に飛び去っていった。エルタテハはよく見るが、裏庭でのこのチョウは初めて。このまま冬を迎え、どこかの木の洞で眠りながら-20℃を耐え忍ぶ。次の春、またどこかで巡り会えるだろうか。

812 ハイタカがやってきた

ハイタカがやってきた朝、この辺りに住むつがいのハシボソガラスの動きが激しい。鳴き方は緊張した警戒心の表れ。カラスに混じって素早い動きのハイタカが目に入った。向うに見える秋色を増した昭和新山の裾野からこの冬の下見にやってきたのだろうか。縄張りが重なるハシボソガラスも加わって、追いつ追われつの終わりのない攻防戦が小半時続き、やがてゲームは山の方へ移動していった。

811 コルウスくん

Corvusコルウスはカラス座のこと。春の大曲線、アークトゥルス、スピカに続くCorvus がそうだ。Corvus はそのまま分類学上のカラス属でもあり、ハシボソガラスは Corvus corone となっている。このコルウス君、時々眼を開き翼には星が瞬く。伊達市カルチャーセンターのロビーに住む。伊達市出身の彫刻家、渡辺元佳さんの作品だ。昨日私は、向こうの扉のホールで「カラス」についての長生大学の講義をさせていただいた。

810 茜色の世界

羊蹄山羽田から千歳空港へと着陸態勢に入ったJAL71便から左翼の下に見えた茜色の山なみ。さすがに秀麗な蝦夷富士羊蹄山(1892m)。その手前の双耳峰は左が徳瞬瞥山(1309m)で右はホロホロ山(1322m)。左奥はニセコアンヌプリ(1308m)。この方向、この高さから見るとこうなのだと頷いた。手前の海岸線は白老港あたりだろう。旅客機の窓越しに小型のカメラでこのように映せる時代になった。

809 これぞマイタケ

マイタケ室蘭岳産の見事なマイタケを頂戴した。ちょうど成熟しきって実に新鮮、汚れもなく香りもいい。ハラハラと砕けるのを量ると500g。どう食べようか。出来上がったのはマイタケご飯と豚肉との煮物と、極めつけは網で焙って天日塩を振っての一皿。ご飯が炊きあがったころには部屋中がマイタケの香りで満たされた。これぞ大地の味、野生の匂い。極上の食卓となった

808 嵐のあとで

落ちリンゴ未明から吹き荒れた嵐、台風18号は裏庭のリンゴをあらかた落として、昼過ぎには過ぎ去った。昨年の8月末の10号台風では、800個のリンゴが落とされ、すべて処分したが、今年のは少し色も味も乗っていて思案のしどころ。専業の果樹園を見てきたがこんなに落ちてはいなかった。風よけの生垣、剪定、摘果などに工夫があるのだろう。プロの技だ。私は自然の営みに頭を下げるのみ。

807 誰そかれ

黄昏カラスカラスが塒(ねぐら)へと急ぐ。一日が終わる黄昏どき、カラスたちはそれぞれの縄張りや行動圏から寄り集まって群れて帰る。ヒトはこのような薄暮、「誰そ彼」と声かけ、返事の声を聴き分けて相手を知ったという。カラスも呼び交わしながら、互いに確認し合っているのだろう。

806 モモのジャム

モモジャム今年のモモはスズメバチが来なかったので出来が良かった。いつもはぼろぼろにされるし、家のものは怖くて近づけなかった。品種は「あかつき」で、植えて十年目。皮ごとスライスし、種子を取って5.2㎏、42個分だ。砂糖1㎏振って置き、汁が出たら煮る。混ぜながら2時間煮て、レモン汁をたっぷり加えて完成だ。コンポート風の柔かめ。シナモン風味も一瓶。これが毎年のレシピ。

805 洞爺湖ゼロポイント

ゼロポイント世界ジオパークの洞爺湖。向うに見える対岸から2.6km、中島から800mの洞爺湖のど真ん中。ゼロポイントと呼ばれる岩塊の積みあがった長さ数十mの狭い浅瀬。180mの深さから立ちあがった火山の頂上だ。乗った船は「山だて」をしてやっとたどりつく。周囲約40㎞、優雅な曲線の火山で構成される中島のみならず、探しあてて初めて経験するアドベンチャーワールドがここにある。

804 ブラムリー

ブラムリー一昨年、家族が購入した苗に実がついた。まだ樹が若いので摘果の時に1個残したものだ。やや大柄ながら扁平な実が目を引く。ブラムリー(Bramley)。ふるくからイギリスで人気の料理用のリンゴだ。酸味があるが香りがあって柔らかく、ジャムや肉料理のソースによいらしい。脂ののった厚切りの豚肉のソテーにたっぷりとこのリンゴのソースをのせる。数年後が待ち遠しい。