843 長流(おさる)川の頁岩

長流川の頁岩向こうは有珠山で、巨大カルデラの洞爺湖も近い。この一帯は軒並み火山で、付近の丘陵はテフラに覆われている。だが、今日の探索で手にしたのは紛れもない頁岩であり、茶色の風化被膜の下は黒色で、見たところ国縫の頁岩にも引けを取らない。地質図によると、上流のグリーンタフ由来の地層あたりに頁岩層があるようだ。春の露頭探しが楽しみだ。

842 新雪の有珠山

新雪の有珠山長流川中流の河原から雪をかぶった有珠山(733m)が眩しい。昭和新山のドーム(398m)は地熱のせいもあって雪が融けてしまい、赤い地肌が見えている。昨年9月の台風18号の出水で河原の様子は変わったが、ここからの有珠山は人工物が見えず実に新鮮だ。新年を迎えてからは暖かい日が続いている。厳しい寒さはこれからだが、春を待つ林の樹の枝は少し柔らかく見える。

841 エゾシカの燻製

エゾシカ燻製ワナ猟で捕獲されたシカ肉を、玉葱、唐辛子、天日塩、黒砂糖、スパイスで作ったソミュール液に漬けこみ、塩抜きをして風乾した。野生動物の肉は衛生上加熱しなければならないが、時は冬、熱燻は面倒なのでオーブンで110℃1時間加熱し、その後65℃で2時間半、サクラのチップで温燻。良い色に仕上がった。旨いぞ、純地元のジビエ。大地の味、吹く風の匂いがする。ジンが進む。

 

840 サクランボウの短枝

サクランボウの短枝3月の大風で果樹の枝先は痛めつけられ、6月までの低温でサクランボウはダメだった。9月の台風ではリンゴがやられた。でもモモは大豊作(といっても2本だが)で、スズメバチもこなかった。ブドウの出来もよかった。裏庭の20本のリンゴと10本のサクランボウ。自然は糾える縄だという。来年は良い年だろう。サクランボウの短枝は弾けるほどに充実し、開花、結実を待っている。

839 西高東低・100hPa差

西高東低100hPa日本付近にあった二つ玉の低気圧はゆっくり北上してオホーツク海で944hPaの低気圧となった。シベリアの高気圧は1044 hPaで、図内でのその差はなんと100 hPa(気象庁天気図)。北日本は荒れ模様で、襟裳岬では39m/secの風が吹いたという。気象衛星の画像では、ほぼ西からの強風となって雪雲が日本海を埋めている。昨日の朝は+8℃で雪も融けたのに今日は-8℃の銀世界。

838 酸性白土球

酸性白土球石膏のような均質な母岩の中の径6㎝程の球体。堆積岩の中に形成されるノジュールだろう。この不思議な岩石は、壮瞥町の長老からいただいた。古くからの人は「酸性白土球です」と事もなげに言う。昔あった鉱山から産出されたもので、「壮瞥穴」と共にこの町の七不思議の一つだそうだ。私には今一つ正体が不明だ。鉱山跡に出かけねば。自然は不思議に満ちている。

837 末っ子のプロフィール

ハシボソガラス10年来、我が家をテリトリーとしているつがいのハシボソガラスに今年3匹子ができて、そのばっちっこ(末っ子)がこの子。遅れて孵化し、上の子が巣立っても親に餌をせがんでいたが、秋になってひょっこりやってきた。父親は追いだそうとするが母親は甘い。本人は三人家族だと思っている。父親より一回り大きい雄となった。まどろんで白い瞬膜が下りた瞬間。名前はまだない。

836 新山ドーム

新山ドーム雪雲が矢継ぎ早にやってきて、昭和新山は雪催い。カラマツの透けた枝の向こうにメル尖った溶岩塔の噴気も地肌にへばりついている。新山のドームは場所によって形が違う。ここは湖畔からドンコロ山スコリア丘に抜ける途中の沢筋。次の春まで、どんな冬になるのか、誰も予想できない。自然との付き合い方は成り行きに従うだけ。

835 ホザキヤドリギ

ホザキヤドリギ

数年前から観察しているニレの大木のホザキヤドリギとアカミノヤドリギ。今年もそれぞれが10株くらい寄生していて、黄色と赤色の実を付けた。ヤドリギは赤か黄色の実を付け常緑なのだが、ホザキヤドリギは良く目立つ房状の黄色い実を付け、落葉性だ。この種の北海道での分布はここ以外あまり聞かないが、本州ではよく知られている。

樹にはヒヨドリが来ていたが、冬鳥の「渡り」のコースに関連しているのかもしれない。糞中の未消化の粘性を持つ種子が枝にまとわりついて発芽する。(ブログ561、465、507、566、590、718)

ヤドリギは万葉の時代から「寄生・ほよ」の名で知られ、 大伴家持の歌が残っている。 -あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄生( ほよ)取りて 挿頭(かざ)しつら  くは 千年(ちとせ) 寿(ほ)くとぞ-

834 厚着の冬子

シロヒトリこのところ氷点下の朝が続いている芝生の端に、ゆっくりと動く毛虫を見つけた。シロヒトリの終令幼虫らしい。落ち葉の下で冬眠し、寒さをじっとこらえて翌年羽化し、真っ白なドレスを纏い、ふくよかな腹に黒と紅色の斑紋を持ったガに変身する。脂粉に蛾眉のろうたけた厚化粧は、そのまま生命の力強さだ。灯りだけではなく、焚火にも飛び込んで身を焼く。その名も「白火取蛾」。