霧氷で名高いオロフレ峠。スノウシュートレッキングの出発点に近い樹林にそびえるトドマツが、いつものように分厚い雪衣を羽織ってでんと控えている。斧の入っていない森には必ずこんな立派な樹があり、存在が頼もしく、歩くのが嬉しくなる。仲間たちはそのような樹に「森の番人」「トチノキ婆さん」だとか勝手に名前を付けている。この樹は「雪王」「雪将軍」そんな風情だ。
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600 久保内からの有珠山
朝の陽を受ける有珠山の東面。北斜面の向こうには有珠新山が続く。大有珠のピナクル(岩塔)下のロープウェイ駅から東へ延びる長い稜線の上には火口展望台があり潜在ドームだ。この稜線の下にも溶岩ドームがあるという。地質図を見ると現在の有珠山は「流れにくい」溶岩、つまりケイ酸(SiO2)分の多い粘性の高いマグマで構成されたドームの集合体だということがわかる。
有珠山に異変があったら、私の住む壮瞥町滝之町の住民は、ここ久保内の施設に避難することになっている。それでも火山に近いというか、距離があるかから安全なのか。大きな噴火ならここでも危ないし、そのあと住むことも不可能となる。この数百年の噴火の規模なら安心だ。しかし、火山灰は風向き次第でやってくる。あらためて有珠山を眺めなおしてしまう。