399  棘ある果実

ハマナス海辺でハマナスの実を見つけた。特大の珊瑚玉だ。学名Rosa rugosa。 種小名は縮れた葉から来ているのか皺の意味。英名はJapanese apple rosehips。イギリスの図鑑にはrosehipの形の違いが20種ほど載っていたが大体は球形か棗型である。ハマナスはHip large and pendent, pumpkin-shaped.とあった。よっぽど特異な形なのだろう。よく見ると茎だけではなく実の棘も立派。この種の祖先は棘だらけの実を持っていたのかもしれない。

398  したたかなマメ

クズクズの花が盛りだ。ヤマブドウ、サルナシ(コクワ)、ツルアジサイ、ツタウルシなどと同じように林縁を被うマント群落を構成する。この地域ではクズの蔓延りようは急激で目に余るものがある。火山堆積物を説明するジオサイトも我々がクズバスターとなってクズを退治しなければならない。縄文の昔からの葛粉や葛布を作り家畜の餌とし漢方薬にまで多用した多彩な文化は蝦夷地にはまだないが、この花の「ファンタグレープ」の香りにはなぜか惹きつけられる。

397  蚕食された四十三山

四十三山先日、マイスター仲間のI氏から四十三山(よそみやま=明治43年に噴火、隆起した)周辺にマイマイガが発生しているとの情報があった。それはこの画像のちょうど向こう側。盛夏、緑に覆われているはずの四十三山が食害にあって白っぽく色が抜け落ちて見える。ほとんどがドロノキで、この時期、本来なら雌の樹の綿毛をつけた朔果が見事なのだが、襤褸布が裸木に引っかかっているようで実に貧相で可哀そうな限りだ。

396  湖畔のハマナス

ハマナス北海道の海岸に多い野生種のバラ。洞爺湖畔のものは植栽によると思われるが、北の湖の風情によく映る。東アジアが分布の中心で、朝鮮半島、サハリン、カムチャツカ半島にも自生するという。強い野性味のある香りと頑強さでバラ類の品種改良に使われるが、欠点は枝の棘の多さで、切り取って飾ろうにも摘まむ隙間もない。その辺りがこの花の魅力と生き残る武器なのであろう

395 この100年と次の100年

白鳥大橋展望広場公園室蘭、祝津(シュクズシ)の海水浴場跡へ出かけた。いまでは「足湯」ほどの水遊び場しか市民に残されていない。近代的な白鳥大橋を得た半面、失ったものも多い。遠浅の砂浜で「シクトッ」と呼ばれていた100年前、橋脚の向うの円い丘は草原で繋がった陸繋島だった。港の開かれたトキカルモイ(チカの入江)からオハシナイ(幣場の川)を通り、ポロシレト(大岬)のアルトル(向う方)の岬だった。先住民の祀り事の場だったと聞く。「白鳥大橋展望広場公園」という荒れた公園。コンクリートと鉄の100年持たない橋が白く光っている。

394  一緒に朝食を

ヨツボシケシキスイ朝食は庭でとる。庭食という。パンとコーヒーとサラダくらいの簡単なものだが有珠山を眺めながらゆっくり食べる。バナナをフォークに突き刺した時、黒い小さな甲虫がとまった。背の樺色の紋と触角から始めキノコムシ?と思ったが、いや「ケシキスイ」と瞬間的に思い直し調べたらヨツボシケシキスイ。林の樹液に集まる常連だ。私の好きなよく熟してテロテロになったバナナを発酵した樹液と勘違いしたらしい。