988 旅の終章

旅の終焉豊浦町の貫気別(ぬきべつ)川河口でハシボソガラス、オオセグロカモメが鮭の朽ちた骸を啄んでいる。オジロワシも見える。流れには襤褸布のような魚体が引っかかって揺らめいている。この川で孵化し、北太平洋を回遊してきた強者達の終章がこの一幕だ。故郷へ帰って産卵し、鳥たちに食われ、土へと還る。この川の上流にはインディアン水車もある。いのちの輪廻が見える。

980 ハナマメのマリネ

マナマメのマリネ我が町壮瞥では果ものの外に、美味しい豆類も作られる。代表はシロハナマメ。薄く甘くしてゆっくりと煮上げると3㎝以上に膨らむ。豆一粒で一口大。たっぷりとしたふくよかな大地の恵み。パプリカ、エリンギ、セロリ、インゲンとともに、穀物酢、白ワイン、砂糖、塩、スパイスにハーブ類を一煮立ちさせて冷やしたマリネ液に漬け込む。サラダの友、肉の付け合わせにぴったりだ。

979 ニシンの酢漬け

ニシンの酢漬けいいニシンを見つけ躊躇せず買った。一尾0,5kg、体長40㎝の立派な男振り。輝く鱗が残っている。機会を逃さず塩で締め、酢、塩、砂糖、玉ねぎ、人参、スパイス、ハーブで酢漬けにした。参考の北欧レシピでは young herring だが、この際たっぷりと戴こうではないか。白子は濃い味の醤油煮とし酒の肴に。写真の2匹はフィレにしてしっかり冷凍、二日後には刺身となる。旨いぞ。

965 ビート畑

ビート畑裏庭に続く近所の農家のビートは数日前に収穫が終わり、積み上げられてシートで覆われている。畝には霜が降りて、遅い初雪のニュースも入った。向うに見える有珠山には雪はまだ見えない。隣の伊達市にある製糖所へビートを満載した大型の貨物車が町を通り抜ける。1880年(明治13年)に官営紋別製糖所が設立されて以来、冬になるとビート(甜菜)は運び続けられている。

964 黄金の味

マルメロ裏庭のマルメロでジャム作ろうとしたが、圧倒的な香りと濃厚な味に惑わされて、そのまま砂糖菓子にした。酸味が強いので、グラニュー糖はマルメロスライスの50%。半量をスライスにかけおき、数時間後に20分煮る。ハンドブレンダーでピュレーにし、さらに残りの砂糖を加え15分煮て熱い内にチョコレート型に詰めて完了。脳みそに滲みこみ、いつまでも離れない芳醇。

958 燻製を作った

ベーコンを作る市販のベーコンが実に不味い。地元の旨いバラ肉3本に天日塩をたっぷり刷り込み、冷蔵庫で5日間塩漬。スパイスは粗びきペパー、ミックスハーブのみ。5時間水に浸けて塩抜きし、1日乾燥。65℃まで温度をかけ燻煙は4時間。料理に使える上出来のベーコンができた。ことのついでに地元の魚も燻しあげ(上段)、途中で取りだした北海道産プロセスチーズもごらんの通り(下段)。

952 北限のサンショウ

北限のサンショウ野生のサンショウの実が色づいた。この魅力的な植物、サンショウは北海道南部が北限。天日で乾かし黒い種子を取り除くと、鮮烈な味と香り「麻辣」の「麻」となる。中華、それも四川の料理には欠かせない。うなぎの蒲焼用のサンショウの粉を使ったが全然だめ。初夏の緑色の実のシャープな味、秋の乾した皮の噛みつく味覚は、身体と脳味噌をシビレさせる。極上の野生の恵みだ。

951 秋の色

リンゴ「フジ」晩生のリンゴ「フジ」がやっと色付いてきた。霜が降りる頃が収穫どきで、まだ味は乗っていない。枝を透かして昭和新山と有珠山。山の景色も秋らしくなってきた。しかし、大型で強い台風25号が韓国をかすめて日本海を北上し、二日もすると道南に上陸するコースだ。収穫を早めるか。21号、24号、25号。台風がやってこない北海道だったはずだが、このところ台風の話で持ちきりだ。

944 シダクロスズメバチ

シダクロスズメバチ近所のおチビさんの母親から緊急の電話。「3か所ハチに刺されたみたい」。踵と両手の親指の付け根が赤く腫れて痛みをこらえている。母親に退治された個体を調べたら、頭部の斑紋からシダクロスズメバチ。ジバチだ。刺された現場はアカマンマの生えた斜面。巣があるらしく数匹が飛び交っていた。少したって確認したら痛みは引いたという。安心。ハチに手向けのモモの上で撮影。

941 緑のスモモジャム

緑のスモモ香りが高く甘いその味は、子供の時から知っていた。壮瞥道の駅にも有ったので、在来種のスモモと思っていた。調べると意外に少数派で、特徴ある食品だ。ヨーロッパのグリ-ンゲージ Greengage(イギリス) レーヌクロード Reine-Claude (フランス)に似ている。かの地にならい、まい年ジャムを作っているが、濃厚な酸味は格別で、シナモンと合わせたジャムは特に好評だった。