294 ジオの醍醐味 投稿日時: 2013年11月2日 投稿者: nizaemon 我が洞爺湖有珠山ジオパークでは、食分野でもプロジェクトチームが発足している。今回の会議は当ジオパークに協賛してくれている豊浦町のピザ専門店 Namiheyで開かれ、ホットサンドのお披露目も行われた。入江・高砂貝塚の約5000年前の出土品のホタテの貝殻をかたどったホットサンドだ。大ぶりの中身はボイルホタテ丸々一個分と御当地のタマネギのソース。時の流れと大地の豊穣、海の潤沢が伝わって来る。
293 秋味 投稿日時: 2013年10月30日 投稿者: nizaemon 「この近くの浜で、今朝、釣ったのですが」と立派な鮭を頂いた。体長75cmの上物で、「ぶな」もさほどかかっておらず、遡上前の極上品だ。何といっても、成熟した腹子が見事。有難い。三枚にした上身は塩で絞めて干し、スモークかな。筋子は塩と醤油で漬け込んだ。この地では鮭のことを「アキアジ」というが、これこそ旬の味、「身土不二、三里四方を食す」だ。
289 黄金色の香り 投稿日時: 2013年10月22日 投稿者: nizaemon マルメロが生った。一昨年苗木を2品種植えて、今年2本の樹で4個の収穫だ。やっと香りが出始め、収穫まであと1、2週。脳髄にじわっと浸みてくる甘い香りが待ち遠しい。原産の中東諸国には沢山のレシピがある。その名から出たというマーマレード、つまりジャムを作るつもりの栽培だ。ペクチンを充分に含んでいるから、そのとろみを凝縮させて砂糖をまぶしたゼリー菓子Marmeladaもいいね。
279 リンゴとカラスと釣竿と 投稿日時: 2013年9月23日 投稿者: nizaemon カラスに裏庭のリンゴを落とされて収穫が減ってしまった。今朝もまた荒らされて、それも私の好きな早生の津軽と王林。思い立って取り出したのが、以前芦ノ湖でコイ釣りに使っていた4.5mの愛竿。ABUのリールにはまだ200mの釣り糸が残っていて、竿先を操りながらクモが巣を作るように10数本の樹に糸を張り巡らした。カラス達はいま冬に向けて群れを構成中でいくつもの集団で出没している。個体間の順位もこの時期に決まる。カラスも私も冬の準備中。
277 味が濃いぞホワイトプラム 投稿日時: 2013年9月16日 投稿者: nizaemon 経緯があって10年前2本のプラムがわが家に移植された。日本在来のプラムがアメリカで改良後大正時代に里帰りしたホワイトプラム。日本のスモモは中国原産だが、西洋スモモはカスピ海沿岸が原産。トルコをバス旅行した時に採り残しの黄色いスモモを帽子に摘んで仲間と食べたのを思い出した。旨かった。同じ味をわが家で味わうなんて。2kgの果実に2kgの砂糖、10gのシナモンを加えて3kg程のジャムを得た。世界に根を持つ濃密な味。
276 珊瑚玉 投稿日時: 2013年9月15日 投稿者: nizaemon 夏の洞爺湖畔、香りを振り撒いていたハマナスも実をつける季節となった。結実した風情はまさしく珊瑚の宝珠。ローズヒップもきれいだけれど、ここは北海道、やはりハマナスの実だね。バラの花弁でジャムを作るって聞いたけれどもこの実はそのままジャムになる。中に詰まった種を取り、少し硬いが甘酸っぱい果肉は野生の香り。昔、お盆のお供え物として糸で繋いで数珠にして海へ流しました。チベット細工の珊瑚玉。
269 異郷の甘さ 投稿日時: 2013年9月1日 投稿者: nizaemon フェンネルのあの青臭く甘い香りはどこか異郷を思い起こさせる。日本ではウイキョウ(茴香)で漢方薬。食卓には顔を出さなかったが「外」の世界ではごく日常的で、インド亜大陸あたりのレストランのレジの横には小さなスプーン付きで種子が置いてある。どういうわけか客は掌に取って他の手でパンと叩いて口へ放り込む。食後の清涼剤だ。冷えたパスティスの香りも好きだ。庭に植えた軸の黒っぽい園芸種は濃い色の花をつけた。味はどうなのか。
268 桃之夭夭 投稿日時: 2013年9月1日 投稿者: nizaemon 桃之夭夭、有粉其實。植えて5年目になったろうか。あまり果汁の多くない丈夫で昔風の二品種を選んで植えたが、樹が幼さなかったことや私の不慣れで今まで満足な結実が無かった。今年はどういう訳かよく実ってくれてこのとおり。まだすこし小さく硬いが、一週間もすると味が乗って来るだろう。軟らかさと重さが綯い交ぜになった掌の感触と、大脳のどこかの部位を触発してくれるあの香りが好きだ。
253 サクランボウのフラン 投稿日時: 2013年7月30日 投稿者: nizaemon 粒よりのサクランボウ。種子はオリーブの種抜き器で取り、φ20㎝の型には70粒、18cmには50粒を詰め込んでタルト型でフランを作る。注ぎ満たすアパレイユは生クリーム、ミルク、砂糖、全卵、そして味を引き締める多めのレモンの搾り汁。180℃で35分程焼くとマーブル模様の焦げ色が付いて、後はナパージュで照りを付けて完成。「桜桃色」は薄れるが、濃厚な旨味と食感はこの果実の数少ない焼き菓子の覇者。
252 幾星霜 投稿日時: 2013年7月18日 投稿者: nizaemon 壮瞥町浜田農園のリンゴの古株。碑には、品種、祝(いわい)明治23年(1890年)とある。120年前に開拓に入った先人が雄図を託して植えたひと株である。かくして今、20軒の果樹農家がここに集約し、イチゴ、サクランボ、プラム、洋ナシ、リンゴなど多種多様な豊かな美味を生産し、果樹の町壮瞥の名を世に名を知らしめる礎となった。今はサクランボウが見事に成熟し、樹の下から国際色豊かな歓声が聞こてくる。