382  マーダーは喪服で

腐肉に集まるエゾマイマイの殻を拾っているうちに現場に出くわした。肉の入ったマイマイの殻に長い首を突っ込んでいるのはその名もまさしくエゾマイマイカブリ。べつにエゾマイマイだけの天敵ということではないのだが、マイマイカブリというカタツムリ類を好む肉食昆虫の北海道型でこの名が付いた。蒼い光沢のオサムシに近い洒落者。殻の中から出て来たのは他にクロヒラタシデムシ。そして死の香りに目のないニクバエ。役者は揃った。

381  エゾマイマイの身に何が起こったか

エゾマイマイブログ380の、トクサ群落を登る細道100m程の間でエゾマイマイの殻、15個ほどを拾った。それもほぼ成体の大きさ。次々と見つかり、特異な感じがあったので拾い集めてみた。軟体はすでになく、肉の干からびた臭いがする。古い殻ではない。この辺りではサッポロマイマイも普通種だ。肉食の昆虫のことがよぎったがそれにしても数が多すぎる。猟奇的なにおいがする。殺戮者は誰だ。382へ続く。

379  ルバーブの種子

ルバーブ移植したルバーブに種子が付いた。まさしくタデ科の種子の形でイタドリの種子によく似ている。原産はシベリア、北アジアだそうで、北海道は栽培の適地で、最近になってやっとジャムやパイに使われるようになった。茎の赤い品種が欲しいところだ。イギリスヨークシャー地方のルバーブは色と香りでことさらその名も高いが、2~3年物の根から薄暗い温室で促成栽培するとのこと。なかなかの困難さがつきまとうようだ。

373  洞爺湖ミント

ミントこのミントに出会ったのは10年ほど前。湖岸に露出した岩の縁に毎年10株ほど見つける。時には水没し、冬の根は凍結する。全縁の丸葉のミントで、調べたが種類は不明だ。鮮烈な味のミントでこの季節、葉一枚の香りを楽しみにやって来る。秋には種子を頂こうと思うのだが夏の暑さにやられた脳はチャンスを逃がす。暑気払いに湖岸でモヒートを楽しむには量が少ない。私も含めた微妙なバランスが成立している。

371  六月の風に

羊蹄山留寿都町から喜茂別町への途中、北海道らしい風景を見つけました。羊蹄山には根雪が残っていますが、麓の畑ではもう野菜類の作付けが始まっています。数日前、私の住む壮瞥町でもカッコウの声を聞きました。もう何を植えても心配ありません。吹きわたる風は軟らかく丘陵地帯には鮮やかな緑が復活しエゾハルゼミが鳴き始めました。北海道はこれから一気に夏に突入です。

367  リンゴの花が咲いて

リンゴの花「若葉香る五月の庭 リンゴの花咲き・・・」懐かしい歌だ。仲間たちとよく歌ったし、合唱曲として聞くのも好きだ。今日一日、風香る五月の末にしてはいささか冷たい風で、寒暖計の赤いアルコールは7℃。写真はわが家の早生のリンゴ「つがる」で毎年花付きがいい。「ふじ」の仕立て方は下手で、ジャムにしショソンを作る大切な樹なのだが。来年は良くなるだろう(と思っている)。

364  タンポポの五月

エゾタンポポ足元から遥か遠くに見える町役場の向こうまでタンポポに埋め尽くされて、景色が黄金色に染まる。セイヨウタンポポ、昔、牧草とともに渡って来たが、いまではこの季節を彩る土地の花。スカートもズボンの裾も金色の粉でよごしながらこの花を集め、太陽の光をお酒にする。タンポポのお酒だ。五月のエキス。何という贅沢。レイ・ブラッドベリーに乾杯。

353  旨いもの

シロガイ金沢に来ている。金沢漁港の「いきいき魚市」でシロガイとホタテを見つけた。ひときわなつかしく美味そうだった。市民の台所といわれる近江町市場でも毛ガニとともに名脇役だ。藩政時代から300年近く続くこの日本有数の市場で、ここの鮮魚や金沢野菜、名物総菜と肩を並べて、引けを取らぬ北海の味だ。すべてバターにあう、ガーリックにもオリーブオイルにも。パスタにいいぞ。

351  地中の繁栄

s-DSC_3309植えつけて3年目のルバーブをわが家へ移植することになった。根が大きいと見繕ってスコップで少し大きめに掘り起こし始めたが、豈図らんやこいつの根は太く四方に蔓延っていて、一抱えもある根茎を掘り起こしたが随分勿体ないことをしてしまった。恐るべしタデ科植物。たった3年でその三倍もの年季を得た灌木の強勢の根の風貌だ。根あればこそ地上の隆盛も頷ける。今年の夏はジャム作りだな。

344  至高のニシン、もう少し

ニシン塩漬け会津のニシン鉢で漬け込んで一ヶ月、取り出して成形し貯蔵瓶に漬けこみなおした(ブログ329)。ホールのブラックペパー、ベイリーフ、高濃度の天日塩水を満たした。あと数カ月もすれば練れた味になるか。半身分取り出して薄皮をむきとり、そぎ切りにしてミルクの中で強い塩気を抜く。4時間程して試食した。塩味はちょうどだが旨味が少ない。いまいちとろける旨みのカタクチイワシ(アンチョビー)には及ばないようだ。円熟には「時」が必要だ。