46 この夫婦

ハシボソガラスの夫婦 一昨年、向かいのトドマツの巣で生まれた同腹のハシボソガラス。一緒に巣立ち、つがいになって、去年は三羽の雛を育てました。子供たちは巣立って行ったけど、片方の足が悪かった一羽はその後どうなったでしょうか。厳しい冬を越し、いま春が近づいて寄り添う二人です。向かって右が亭主。しかし去年、トドマツの林は伐られてしまいました。この夫婦、何処に巣を作るのやら。

45 イガイ Mytilus coruscus

美味しいイガイ 室蘭産のイガイMytilus coruscus ワインで蒸し、大粒を頬張る。磯の香りが口いっぱいに広がる。縄文時代から今に続く海の民の官能。オレンジ色は卵巣だ。殻の内面は碧緑に輝く真珠色。たまにしゃりっと身の中の小ガニが歯に当たる。それは寄生ガニのピンノテラ。思わぬ甲殻の味わいも余禄にいただく。当地には大きく幅広のエゾイガイCrenomytilus grayanus も産する。

43 マツの実の滋味

マツの実を食す 暮れに収穫したチョウセンゴヨウ(朝鮮五葉松)のマツカサから硬い種子をほじくり出し実(胚乳)を食す。松脂が多いので靴底で揉んで収穫するのがコツだ。小さいが滋味が舌の奥に広がる。日本には無かったが、古代から世界中で食の素材となった。酒のグラスを傍らに、金槌で軽くピシッとやってもいいし「石器」を使ってもよい。その気になって探すとよくある樹です。お試しあれ。

42 椴の森で

椴の森で 児童館の冬の里山観察会はマイナス4℃の中で行われました。子供達には初めてのスノ―シュー体験でした。キタキツネとエゾシカの足あとを追って小さな雪原と、少し冒険しての椴の森へと分け入りました。跳ねたり走ったり、こどもたちの身体能力に圧倒されてしまいました。足跡や木の実の食べかすなどから、冬の生き物たちのたくましさを発見しました。有珠山の1663年噴火の軽石層(Us-b)も見にゆきました。

40 うるさいやつら 

食いしん坊のヒヨドリ 腹のすいたヒヨドリが2羽、台所の窓の向こうのサクランボの木にやってきている。縄張り性が強く食べ物をめぐって他の鳥達といつもいさかいをおこしているようにも見えるが、かれらは生きることに真面目で懸命なのだ。ヒヨドリは秋の終わり群れを作り津軽海峡を南へ渡る。ハヤブサの攻撃を避けながら、海面すれすれに命をかけて竜飛岬へと渡るNHKの映像を見てひどく感動した。

39 春告げ魚 ニシン

ニシン 春告げ魚は各地にあるが、北海道では間違いなくニシン。よいニシンが手に入った。鱗がそろっていて剝れていない。余市産、体長36cm。新鮮で、バラけた腹子は手、包丁、シンク、至る所にくっついてしまう。海では海藻に付くのだが、これは我が家で美味しく食べてしまう。小さな命から大きな生きものまで、食物連鎖という膨大な浪費の上に我々の生命の星は成り立っている。

38 ロッドユールのカエル

ロッドユールが来たらしい ロッドユールが来ていったらしい。カエルのひぼしとボタンが残されていた。これは彼のコレクション。暖かくなったら、またそっと来てくれるだろう。                                                                                                                                    去年の夏、網戸の隙間から入り込ん で、綿ごみを纏いながらカーテンの下で乾ききったニホンアマガエル。だれしも半年先の自分の運命はわからぬもの。5月になって土の香りがしてきたら草むらの中に戻してやるつもりだ。

35 瞳の向こう

瞳の中 輓馬(ばんば)を引き取り休養させている家がある。飼育小屋の外、雪の野面を見ながら佇む馬は見事に大きい。随分昔、荷車で重い石炭を運ぶ馬が、凍った坂道で転び、立ち上がれなくて馬方からひどい扱いを受けていたのを思い出す。激しく息を吐き、大きく見開いた白い眼を、まだ覚えている。私に近づいてくる馬の瞳の中に私が映っている。眼の中の冬景色は青く寒そうだ。

30 Lepeophtheirus salmonis サケジラミ

Lepeophtheirus salmonis  サケジラミ サケのなるべくしっかり塩の利いて、なおかつ新鮮そうなのを一本買ってきた。切り分けていた時、尻鰭のあたりに何か面白い形の付着物を見つけ、ピンセットでつまみあげて見ると、何と寄生虫のサケジラミ。甲殻類のカイアシの仲間で、エビやカニ近い生きものだ。サケも自然の中の生きもの、寄生虫はあたりまえ。あらゆる動物は寄生虫ともども進化した。もちろん人間には無害。

サケジラミの世代交代 この甲殻類はCopepoditt幼体の時代、サケ・マス類にかぎ爪でしがみ付くようだ。膨大な数と種類のプランクトンにはこんなのも混じっている。食物連鎖上位のものに運よく呑み込まれず、自分の宇宙を手にした幸運な寄生虫の一匹。日本も含め、世界中の養殖サケでこの寄生虫のことが報告されている。採算に合わせ、ケージの中で過密に飼われているとこうなる。まして一大消費地としての日本がからんでいる。陸上のブロイラーのみならず、野生の代表と思っていたサケ・マス類、お前もか。

26 ガンビの皮を燃やす

燃えるガンビの皮 ガンビの皮を壮瞥町の奥山の小学校跡地で拾った。藪の中の仰向けに傾いた小さな門柱に駒別小学校とかろうじて読める。すぐ脇では森が伐採されていた。ガンビの皮はマカンバ(ウダイカンバ)の厚い樹皮である。昔から家具作りに重宝された太いマカンバは、今はもう少なくなったという。森の樹を薪にしていた開拓者の時代はこの皮がもっぱら焚きつけとされていた。