276 珊瑚玉 投稿日時: 2013年9月15日 投稿者: nizaemon 夏の洞爺湖畔、香りを振り撒いていたハマナスも実をつける季節となった。結実した風情はまさしく珊瑚の宝珠。ローズヒップもきれいだけれど、ここは北海道、やはりハマナスの実だね。バラの花弁でジャムを作るって聞いたけれどもこの実はそのままジャムになる。中に詰まった種を取り、少し硬いが甘酸っぱい果肉は野生の香り。昔、お盆のお供え物として糸で繋いで数珠にして海へ流しました。チベット細工の珊瑚玉。
274 地球劇場 投稿日時: 2013年9月11日 投稿者: nizaemon 巨岩累々たる大有珠の山巓に三日月がかかって、頂上付近の惑星は方向からすると金星だろうか。星座表で調べたら月のさらに上方に土星が、金星の右下にはスピカが見えるはずという。ただただ当たり前の光景が何万年も続いて来た。今この瞬間、地球という星のここに人がいてはたと気が付いただけの話。ことはそのまま継続してゆく。暮れなずむ洞爺湖畔。木の間隠れの天体ショウ。
269 異郷の甘さ 投稿日時: 2013年9月1日 投稿者: nizaemon フェンネルのあの青臭く甘い香りはどこか異郷を思い起こさせる。日本ではウイキョウ(茴香)で漢方薬。食卓には顔を出さなかったが「外」の世界ではごく日常的で、インド亜大陸あたりのレストランのレジの横には小さなスプーン付きで種子が置いてある。どういうわけか客は掌に取って他の手でパンと叩いて口へ放り込む。食後の清涼剤だ。冷えたパスティスの香りも好きだ。庭に植えた軸の黒っぽい園芸種は濃い色の花をつけた。味はどうなのか。
268 桃之夭夭 投稿日時: 2013年9月1日 投稿者: nizaemon 桃之夭夭、有粉其實。植えて5年目になったろうか。あまり果汁の多くない丈夫で昔風の二品種を選んで植えたが、樹が幼さなかったことや私の不慣れで今まで満足な結実が無かった。今年はどういう訳かよく実ってくれてこのとおり。まだすこし小さく硬いが、一週間もすると味が乗って来るだろう。軟らかさと重さが綯い交ぜになった掌の感触と、大脳のどこかの部位を触発してくれるあの香りが好きだ。
267 手鎌ひとつで 投稿日時: 2013年8月31日 投稿者: nizaemon 北海道では農作業など個人が関わる面積が実に大きいので、緑地の整備などは何でも刈払機でやってのける。当地に越してきて町内会の草刈りにこの鎌を持ちだして笑われた。でも良く研いでうまく扱うと素晴らしい能力を発揮してくれる。十数年前、軽いのと「スウェーデン鋼」の表示に惹かれて買い求め、生活の周辺で重宝している。使う前に研ぎ、仕事中にも腰の砥石で刃を整え、使い終わったら刃こぼれを補正する。細かい作業では無敵の武器だ。
264 無限花序 投稿日時: 2013年8月28日 投稿者: nizaemon 秋めいて、澄んだ青空が心地よい。有珠山、昭和新山を背にビロードモウズイカが咲いている。去年ロゼット葉を見つけ、生垣の縁だったのでそのままにしておいた。ヨーロッパ原産のリンネ種である。暑さが退いたので勢いを増し、花茎に分岐も出来てこの無限花序どこまで伸びるのやら。イギリスではCommon Mulleinがつく。ヨーロッパに似た風土の北海道でも普通種となった。出自はともあれ、この地でごく当り前に逞しく咲く存在感のある花だ。
262 Red Moon 投稿日時: 2013年8月21日 投稿者: nizaemon 夕方、積乱雲の残る山の端に満月があった。今月の望月はRed Moon と云うそうだ。雲の頂きに残照が滲む。昼間の火照りのようだ。夏の名残りと秋の名月の先ぶれコラボ。今年の中秋の名月(十五夜)は9月19日だ。こうやって季節は移ろう。
261 雲の峰 投稿日時: 2013年8月20日 投稿者: nizaemon 大陸に秋の高気圧が出来てゆっくりやって来ている。お盆が過ぎるといつもは秋の気配なのだが、今年の太平洋の高気圧もまだ絶大な勢力をもっていて、閉塞前線下の北海道は実に不安定な状態だ。今日は各地で雷雲が発達し、驟雨を伴って北の大地を南西から北東へ移動している。画像の雲の峰の下は支笏湖あたり。ビート畑の向こう、とんがり屋根は小学校でその裏山を越えると洞爺湖だ。今年の夏空は今日で「止めを刺す」か。
260 アブの夏 投稿日時: 2013年8月19日 投稿者: nizaemon この町には川や牧場があって、ガラス窓に音を立ててよくアブがぶつかる。これはヤマトアブか。昆虫のハエ目に分類され、ハエ、アブ、カ、ブユは同じグループだ。この連中、本来あるべき四枚の翅は二枚となり、あとは飛翔時にバランスをとる平均棍となっている。日焼けの肌に瞬時にサクリと小刀状の口器で傷を付け、血を舐め取る巧みさは実に野生的だ。叩かれてコロリと落ちるいさぎよさも夏の思い出。
259 カシワマイマイ 投稿日時: 2013年8月18日 投稿者: nizaemon マイマイガ(舞舞蛾)の近縁種カシワマイマイ。近所の桜の木に見事に群がっていた。北海道だけではなく日本各地で大量発生している。頭部や脚のスカーレット色が目立つ。右下の個体は♂で櫛状の触角をもつ。このグループ、広葉樹のみならず針葉樹や草本にいたるまで何でも食い荒らす広食性で知られる。大量発生はウイルスの蔓延によって終焉に向かうと言う。自然のシステムは不可思議かつ良くできている。