317 負けてはいられない

マイナス23℃モンゴルあたりに1044hPaの強力な高気圧があって、おまけに放射冷却で、朝7時の気温がなんと-23度。2012年1月28日-19.5℃以来のわが家での新記録です(同日のブログ参照)。のほほんと生きる怠惰の中に有っては、個人的には喜ぶべき記録です。 ポロシャツを湯に漬けてハンガーに掛けたら、数分でこのとおり、しゃきっと立ち上がりました。私も背筋を伸ばして外気にあたらなくっては。

316 未来の環境

ソーラー発電雪を頂く火の山有珠山を背にソーラーパネルが4800枚。ここは北電、伊達火力発電所に隣接したソーラー発電所だ。1970年代、ここの火力発電所建設反対運動は、行政や大企業の思惑ではなく、自らの手で地域の将来と環境を決めるという住民からの意思表示であった。全国的な反公害住民運動と相まって、初めて環境権が取りざたされた時であった。大地があり青空が広がり、人の暮らしがそこにある。

313 めげない

ハクサンシャクナゲシャクナゲが寒さに耐えることに心底感動する。いまはまだ寒さも始まったばかりで、葉には深いオリーブグリーンが残っていて、どこか冬を眠る命を感じさせる。2月の厳冬期になると葉は干からび黒く煤け、握るとハラハラと崩れてしまいそうになり、寒風にさらされている様子は見ている方がつらくなる。しかし4月になってやわらかな陽をあびると葉は再び蘇り、新芽は伸び花芽は膨らむ。いったいこの強さは何なのだろう。

312 煙浴

煙浴伊達市にある北海道糖業の煙突から白煙が上がって、収穫を終えたビートから今まさに甜菜糖が作られている。眼を凝らすと十数羽のハトだろうか、集団を作りながら煙の中に幾度も飛び込んでいる。煙浴という言葉があり「ある種の鳥が煙突などの煙をあびる行為で、羽根などにつく寄生虫を駆除するといわれる」と説明されている。本当にそうだろうか。都合のよいように勝手なつじつま合わせをしてはいけない。

311 リンゴ一代

リンゴ「サンフジ」収穫物には規格外がある。この町はリンゴの町として名を馳せているが、この町に居ればこそ、こんなリンゴに出会える。品種はしっかりとした味で日持ちのする「サンフジ」。眼を描いてハンチングでも被せるとリンゴ園の親爺の顔だ。もちろん味に変わりはなく、安価に手に入る。この冬のジャム作りのために30㎏買ってきた。出来る10kgの甘くて香りのたかいジャムは170個のショソンとなって「口福」をもたらしてくれるだろう。

309 大地の申し子

秋播き小麦伊達市館山の丘陵の麦畑。秋の一番おしまいに播種された秋播き小麦「キタモエ」。根雪になる直前、ここまで伸びました。春4月まで根雪の毛布の下で眠りにつきます。雪腐病、うどんこ病に強く、穂発芽耐性も強いといわれ、麺類に最適の新しい品種だ。ここの表土は長年使われ改良された有珠山の火山灰、地下には数十メートルの厚さの洞爺湖軽石層がある。噴火湾を隔てて渡島駒ケ岳を望む。火山に繋がる大地、ジオパーク。

307 夢の向こうの双耳峰

徳舜別、ホロホロ我が町壮瞥町から望む徳瞬別岳(左)とホロホロ岳。夏にはトドマツの原始林の中を辿り、頂上では日高の遠い山並みをそして道南の名だたる山嶺を手にする頂きだ。ここからのこの山はおぼろおぼろの夢の山。高さも規模も遥かに及ばないがこの町の幻の山、梅里雪山。無垢でたおやかに、いつも私たちに寄り添っていてくれる。

306 昭和新山、誰そ彼どきに

トゥオネラの白鳥有珠湾あたりにハクチョウが渡って来ていると聞いていた。薄暮れて新山の屋根山が黒く落ち込む頃、幼鳥を含めた七羽の群れが鳴き交わしながら新山沼に降り立った。これから半年は寒いけれど静かな時間が続く。屋根山の木立が透けて頂上のドームが見える。人の姿を見つけて鳥たちが来る。闇夜とこの世を繋ぐ使者。トゥオネラの白鳥か。

304 不味の戦略

ナナカマド冬を迎えて二度目の雪となって、着実に季節は進む。雪を乗せたナナカマドの赤い実を通して望む昭和新山と有珠山も冬景色だ。山々が雪で覆われ、いよいよ食べるものが無くなって来ると鳥達も里へ下りてくる。甘さも酸味もおまけに汁気も無く、色だけ目立つナナカマドのかたい実は、救荒食のように食べられ、種は散布される。時間的ニッチの中で次世代への命を繋ぐことになる。晩生にはそれなりの戦略がある。

305 鉄道遺構・旧国鉄胆振線橋脚

旧国鉄胆振線橋脚1944年(昭和19年)6月23日に始まった噴火は地殻変動を伴いながら17回の大噴火を繰り返し、約一年の間に壮瞥川、鉄道、生活道路を山麓へと持ち上げた。昭和新山山麓には旧国鉄胆振線の遺構が残されている。二つの橋脚の間をかつての壮瞥川が写真左から右へと流れ長流川に合流した。橋脚の上には鉄路があり、左奥方面は壮瞥、右手前方面は伊達。昔日の水辺の証しとしてトクサが茂っている。来年、昭和新山は噴火70周年を迎える。