1006 カメムシの卵と幼虫

 カメムシの卵と幼虫風呂場の窓ガラスに小さな卵塊を見つけた。数日たって周囲に芥子粒くらいの動く点を見つけ、ルーペで覗いたら臙脂色をした幼虫だった。室内からの観察だから、裏側からの視点だ。60mmマイクロレンズで撮影して拡大した。ネット上のクサギカメムシの幼虫に似ているが、詳細はわからない。裏庭のプラムの果汁を吸いに来たカメムシなのか。1週間ほどで卵殻を残して姿を消した。

1005 子ギツネのサクランボ

s-kDSC_5278_edited-1今年生まれたキタキツネの子がやってきて、落ちていたサクランボを食べていた。尾の先が3㎝位白い幼いキツネ。ためらうことなく、ちびっ子たちのために作ったツリーテラスにも上り、自慢顔。ほかの3匹の兄弟もどこかで自分の場所を見つけているはずだ。この季節を過ぎると、親から激しく攻撃されて、どこかへ行かざるを得ない。来月8月は子別れの儀式となる。(台所の窓から)

1004 接合資料

接合資料石核と原石石を割って石器を作り、もとの石の形に復元する。これがなかなか難しい。だから面白い。丸石のハンマーで作った尖頭器様の石核。使用した石材は長流川の河原の硬い凝灰岩。ここは石器に使われる黒曜石、珪質頁岩のない地域だ。旧石器から縄文の時代、人々は生活に必要な道具をどのように作ったのだろうか。私も指先に傷を負いながらせっせと石を打つ。足元に散らばった破片を寄せ集め接合してみた。立体パズルだった。 発掘された破片などを接着したものを接合資料というそうだ。そこからは素材の原型、石器製作の手順や、道具、テクニックの良し悪しなど、作り手の人間像までが見えてくるという。

私は\遺跡からの遺物を研究する専門家ではない。遺跡の発掘作業に立ち会ったこともない。文化人類学的好奇心から、動物の道具使用、人類の進化と文化の成り立ち、変遷に興味がある。我々と同じ手、身体、頭脳をもつ人々が、身の周りの自然をどのように利用したのか。石器作成の技術そのもの、伝承のされ方、生活の中での意味合いや応用などについて知りたいのだ。

1003 4匹の子ギツネ

子ギツネたち2匹のキタキツネの子が、と思っていたら、なんと4匹だった。それもハシボソガラスガラスの巣のすぐそば。巡ってきた季節は新しい出会いをこんな形で提示してくれた。減少する一方の野生だが、私の杞憂をどこ吹く風と、その強さ、したたかさを見せつける。子ギツネたちには過酷な世界が待っている。これからが野生の本領発揮だ。カラスは庭から、キツネは二階から撮影した。

1002 新しい家族

ハシボソガラスここをテリトリーとするハシボソガラスに子供ができた。それも4羽。9年も前から続いたつがいの雄が去年いなくなって(死んだと思う)、新しいオスとの間にできた子だ。嬉しいね。家の前の大きなクリの木に4羽の姿。子ガラスは騒ぎ立て、しゃがれ声で餌をねだる。二羽の親はせっせと餌を運ぶ。このひと月はさぞかし賑やかなことだろう。ご近所さんも大目に見てやってほしい。

1001 ハスカップ

ハスカップスイセンの花と同じ頃、まだ冷たい風に揺れながらハスカップの花が咲き始めた。茂った大株に数百の優しげな花。北海道人なら誰しもが知っている、甘く芳醇な酸味と赤紫色の豊かな果汁。そのまま頬張ると口中に広がる春の味。まさしく北の原野の香りだ。アイスクリーム、ヨウグルトと絶妙な相性。もちろん絶品のジャムができる。和名はクロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)。

999 旨いぞ、ボタンエビ

ボタンエビしけの影響で延びていたエビかご漁が解禁、室蘭産がスーパーで入手できた。ボタンエビ、和名はトヤマエビ。北海道では噴火湾産がメインだ。身が締まって生きがいい。食わない手はない。刺身は甘い。鉄砲串を打った塩焼きは香ばしく、丸ごと食べる。刺身はワサビよりは裏庭のホースラディッシュか、焼き物にはタイムか、などと考えた。1匹100円見当。旬を食べると長生きする。

996 凍るアルトリ岬

アルトリ岬明け方は-15℃前後。海は凍らなかったが、岩の飛沫は氷柱となった。-5℃の向こうにアルトリ岬。岬もこの岩も有珠山の山体崩壊の名残り。崩壊が起こった年代が、もし仮に1万2000年を遡り、最終氷期と重なる時代ならば、海岸線は彼方の沖合だ。有珠山の崩壊もさぞ壮大なものだったろう。アルトリ岬は大きな流れ山の頂上部分かなどと、すべてが凍てついた風景の中で考えた。

995 カシワとミズナラ

カシワとミズナラ次世代の新葉まで枯葉を残すカシワ(右)と、何とか葉を残しているミズナラ(左)を探し比較した。カシワは落葉に必要な葉柄の付け根の離層が、維管束の頑張りで落葉しないのだという。この2種、遠目には似るが、葉の形、小枝や堅果の形態が異なる。カシワのドングリはミズナラと違い、まん丸でまつ毛があり、「どんぐりまなこ」の語源とされるクヌギのドングリに似ている。

994 微睡むカシラダカ

カシラダカ地吹雪の正午前、気温は-11℃。窓越しの壁際にちいさな鳥がふっとやってきて、ツタの枝に止まり目を閉じた。風をよけて身を隠し、一瞬のまどろみだった。カメラに収めたあと、もう仲間の声に同化して飛び去った。小鳥の心拍数は毎分数百回以上だという。一日食べないと餓死する。瞬時に眠りに落ち、次の瞬間目覚めて群れとともに風の中に消える。時の中を駆け抜けるいのちだ。