1069 雪の朝のリンゴ・フジ

リンゴ・フジ11月10日、初雪の白さも眩しいが赤く輝くフジリンゴも目に沁みる。私の庭ではいつもこの季節まで収穫しない。樹に着いたままで-2度くらいまでは凍らないようだ。裏庭の30年を超した樹も沢山の実を付けるが、10年の若木も30個ほどの実を付けた。色、形は店先のものより見劣りするが、蜜の入った我が家のリンゴ、味では負けない。

1068 クリのペースト

マロンペースト家のそばにクリの大樹があり、数十個収穫しマロンペーストを作った。40分ボイル、そのまま冷えるまで放置し、半割りにしスプーンでクリッとこそげ取る。ミルクを加えて練り多めのバターを加えて完了。渋皮は殻に残る簡単作業。ラム酒で香りを付けてアイスクリームのお供に。ケーキではモンブラン風にも。バターが入って日持ちもするし、応用はお好み次第。秋の旨みを召し上がれ。

1067 胆振東部地震の傷跡

胆振東部地震の傷跡9月半ば、羽田から千歳エアポート着陸前、2018年9月6日におきた胆振東部地震の傷跡が目に飛び込んできた。最大震度7の揺れで、4万年前の支笏カルデラや樽前、恵庭火山からのテフラが、地表の植生を載せたままで滑り落ちたという。宅地や農地付近は何とか復旧しつつあるというが、開拓時代から営々と築き上げられてきたもとの生活や自然の姿には程遠い。厚真町、宇隆・東和付近。

1066 命の軌跡

コウラナメクジ2000年噴火の噴火遺構を探索する人のみが歩く西山散策路。数日前の雨に洗われたアスファルトにいくつもの白い筋を見つけた。数十㎝の徐々に太くなる何かが這った痕跡。その端にやっと見つけたのは黒くカチカチの干乾びたナメクジの死骸だった。乾いたアスファルトに上でその命は終わってしまった。色から外来種コウラナメクジだろう。多様な自然の中の、生きた証しとその死。

1065 2020年の梅仕事

梅仕事7月28日に収穫した豊後ウメ、9㎏を外割15%、1.3㎏の天日塩で40日間塩漬けをした。9月6日から笊に並べて三日三晩の天日干し。梅酢も甕の中で旨みを増す。今年の甕も洗って並び、役者が揃った。 盛んだったノウゼンカズラの花はもう無いが、同じ色のナスタチウムはまだ残る。夏も終わり、秋の気配の昭和新山、有珠山が肩を並べる。昨年の梅干しは一年経っておいしくなった。

1064 ミミズの溜め糞

ミミズの溜め糞裏庭のゴルフボール大の土の塊が気になっていた。やっとわかった作り手はミミズ。で、これは糞。ここの土は有珠山の火山灰が主だが、これを有機物ごとせっせと食べ、団粒構造にしては排出してくれる。昔読んだダーウインの中に、ミミズの糞は数百年で遺跡の石を地中に取り込んでしまうと書いてあった。土壌を攪拌し改良してくれる力強いミミズがたくさんいてくれるということだ。

1059 北のサンショウ

北のサンショウ庭のサンショウの枝を整理するからとの連絡を受け、笊を持っていそいそと出かけた。一抱えほどの実の付いた葉ごといただき、薫り高い実を収穫した。冷凍保存し、ゆっくり関西風コンブの佃煮、ちりめん山椒を作る。もちろん麻辣の麻婆豆腐に担担麺、棒棒鶏。さらに乾燒蝦仁は大好物。たっぷりと楽しめるぞ。北限のミカン科サンショウ属。洞爺湖中島には見事に繁茂する地域がある。

1058 ハマナス

ハマナス海からの明るい風が吹いた瞬間、ハマナスの酸味のある強い香りが脳ミソを駆け巡った。私が育ったのもこのような海岸、その時の砂浜の流木の風景と甘い爽やかな匂いを思い出す。匂いとともに記憶が鮮烈に蘇るのは、生命にかかわる素直で直截的な感覚だからだろう。匂いは思い出も連れてくる。 室蘭イタンキの鳴り砂の浜には、太古からの風景と海浜植物が今もなお残されている。

1056 翔べなかった日

コクワガタ薪にしようと積み上げていたサクランボの朽木を焚火台で燃やした。翌日、燃え残りの中からすっかり炭化したコクワガタを見つけた。脇には黒焦げの幼虫も。すまん。かわいそうなことをした。おまえたちのこと気にも留めていなかった。凍てついた冬を二回耐え、やっと成虫となったはずだ。虫に落ち度はない。不条理な話だ。飛び立とうとしていた空は高く、吹く風は緑なのに。

1055 村界滝谷の外輪溶岩

村界滝谷の外輪溶岩2万年前、洞爺カルデラの南縁に誕生したのが有珠山。噴火初期の流れやすい外輪山溶岩は、洞爺火砕流堆積物の上を覆った。地質図にはこの谷の奥の外輪山溶岩と、その下の火砕流層が記載されている。地表を流れる雨水はこの沢に流れ込み、急流や滝を作り、長い年月を経て徐々に後退してこの谷を作ったのであろう。仲間の提案で古くからの地名を取り「仮称・村界滝谷」とした。