401 夏はハンモックで 投稿日時: 2014年8月8日 投稿者: nizaemon 庭の果樹の面倒をおざなりにしていたら、リンゴに枯れた葉が目立った。近くの葉の裏には細長い繭がいくつもついている。幾本かの太く束ねた糸に支えられて繭が浮いている。針の先ほどの「みどりご」はここで蛹として仮の眠りをし成虫へと羽化する。成虫の翅の紋も透けている。成虫は樹皮の襞などで長い冬を耐えに耐え、来年また子を産む。「ギンモンハモグリガ」がこの虫の名前。葉肉のみを食害するそうだ。
399 棘ある果実 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 海辺でハマナスの実を見つけた。特大の珊瑚玉だ。学名Rosa rugosa。 種小名は縮れた葉から来ているのか皺の意味。英名はJapanese apple rosehips。イギリスの図鑑にはrosehipの形の違いが20種ほど載っていたが大体は球形か棗型である。ハマナスはHip large and pendent, pumpkin-shaped.とあった。よっぽど特異な形なのだろう。よく見ると茎だけではなく実の棘も立派。この種の祖先は棘だらけの実を持っていたのかもしれない。
398 したたかなマメ 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon クズの花が盛りだ。ヤマブドウ、サルナシ(コクワ)、ツルアジサイ、ツタウルシなどと同じように林縁を被うマント群落を構成する。この地域ではクズの蔓延りようは急激で目に余るものがある。火山堆積物を説明するジオサイトも我々がクズバスターとなってクズを退治しなければならない。縄文の昔からの葛粉や葛布を作り家畜の餌とし漢方薬にまで多用した多彩な文化は蝦夷地にはまだないが、この花の「ファンタグレープ」の香りにはなぜか惹きつけられる。
397 蚕食された四十三山 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 先日、マイスター仲間のI氏から四十三山(よそみやま=明治43年に噴火、隆起した)周辺にマイマイガが発生しているとの情報があった。それはこの画像のちょうど向こう側。盛夏、緑に覆われているはずの四十三山が食害にあって白っぽく色が抜け落ちて見える。ほとんどがドロノキで、この時期、本来なら雌の樹の綿毛をつけた朔果が見事なのだが、襤褸布が裸木に引っかかっているようで実に貧相で可哀そうな限りだ。
396 湖畔のハマナス 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 北海道の海岸に多い野生種のバラ。洞爺湖畔のものは植栽によると思われるが、北の湖の風情によく映る。東アジアが分布の中心で、朝鮮半島、サハリン、カムチャツカ半島にも自生するという。強い野性味のある香りと頑強さでバラ類の品種改良に使われるが、欠点は枝の棘の多さで、切り取って飾ろうにも摘まむ隙間もない。その辺りがこの花の魅力と生き残る武器なのであろう
391 PM2.5 浮遊粒子状物質 投稿日時: 2014年7月26日 投稿者: nizaemon 昨日から有珠山が霞んでいる。PM2.5だという。気象協会のHPの分布図を見ると、着色された部分が中国中央部、満州、ハバロフスク地方、北海道へ連なっている。今日の札幌での値は通常時の約7倍だという。50年前の札幌の冬はスモッグで閉ざされた劣悪な環境だった、と思い起こしていたら、気象庁の発表ではシベリアの大規模な森林火災によるものだという。いわれてみれば、すこし焚き火の煙のにおいがする。
388 コシカギク 投稿日時: 2014年7月15日 投稿者: nizaemon コード式の刈払機で道路際を刈っていたらむせるような甘い匂いに一瞬手を停めた。「かみつれ」、そうカモミールだ。しかし形態が少し違う。舌状花がない。すべて管状花の円いぼんぼり。調べたらコシカギク。英名Pineapple-weed。ヨーロッパ、北米に普遍的で、道路わきの踏みつけ環境で生育するとある。どの地でも頭花を食べ、ハーブティーにし乾燥して香りを楽しむ。雑草という乱暴な考え方は自然界には無い。
387 開拓と火の山と 投稿日時: 2014年7月15日 投稿者: nizaemon 家の前の原っぱに大きなクリの木があって今白い花の真っ盛り。向うに見える熔岩ドームは昭和新山の天然煉瓦。上昇した高温の溶岩に焼かれた煉瓦被膜の赤いドームだ。クリの樹は困難な開拓地でのたつきの証し。この町にはふた抱えもあるクリの巨木がたくさんある。この町の人々は入植後、1911年、1944年(昭和新山)、1977年、2000年と4回の有珠山噴火を経験した。
386 有珠火山があって 投稿日時: 2014年7月15日 投稿者: nizaemon 初夏の北海道太平洋沿岸には海霧が湧く。海際から十数kmの、ここ壮瞥の町は有珠山が衝立となって噴火湾からの海霧はやってこない。有珠火山あっての果樹栽培地帯だ。地形の少しの違いが豊穣をもたらす。ブドウ、洋ナシ、プルーン、サクランボウ。リンゴに到っては三十数種類が栽培されている。わが家の古いサクランボウの樹からの今年最後の収穫がこれ。大地に乾杯!!
385 違う風景 投稿日時: 2014年7月15日 投稿者: nizaemon 東京上野泊。13階からの風景がこれ。一見清潔風だが、違和感がこみ上げる。白い瘡蓋のような街。かつて訪れたうんこ色の大気に包まれたカルカッタの市街も、排気ガスに澱んだ喧騒のカトマンズももっと人間臭い街だった。ここには緑がない。「ヒト」が見えない。黒い土はどこだ。 ビル群の向こうにはベイエリア、窓の逆方向には上野公園。大東京の新旧の顔も見られるはずなのだが。人間世界の終焉の風景か。