837 末っ子のプロフィール

ハシボソガラス10年来、我が家をテリトリーとしているつがいのハシボソガラスに今年3匹子ができて、そのばっちっこ(末っ子)がこの子。遅れて孵化し、上の子が巣立っても親に餌をせがんでいたが、秋になってひょっこりやってきた。父親は追いだそうとするが母親は甘い。本人は三人家族だと思っている。父親より一回り大きい雄となった。まどろんで白い瞬膜が下りた瞬間。名前はまだない。

836 新山ドーム

新山ドーム雪雲が矢継ぎ早にやってきて、昭和新山は雪催い。カラマツの透けた枝の向こうにメル尖った溶岩塔の噴気も地肌にへばりついている。新山のドームは場所によって形が違う。ここは湖畔からドンコロ山スコリア丘に抜ける途中の沢筋。次の春まで、どんな冬になるのか、誰も予想できない。自然との付き合い方は成り行きに従うだけ。

835 ホザキヤドリギ

ホザキヤドリギ

数年前から観察しているニレの大木のホザキヤドリギとアカミノヤドリギ。今年もそれぞれが10株くらい寄生していて、黄色と赤色の実を付けた。ヤドリギは赤か黄色の実を付け常緑なのだが、ホザキヤドリギは良く目立つ房状の黄色い実を付け、落葉性だ。この種の北海道での分布はここ以外あまり聞かないが、本州ではよく知られている。

樹にはヒヨドリが来ていたが、冬鳥の「渡り」のコースに関連しているのかもしれない。糞中の未消化の粘性を持つ種子が枝にまとわりついて発芽する。(ブログ561、465、507、566、590、718)

ヤドリギは万葉の時代から「寄生・ほよ」の名で知られ、 大伴家持の歌が残っている。 -あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄生( ほよ)取りて 挿頭(かざ)しつら  くは 千年(ちとせ) 寿(ほ)くとぞ-

834 厚着の冬子

シロヒトリこのところ氷点下の朝が続いている芝生の端に、ゆっくりと動く毛虫を見つけた。シロヒトリの終令幼虫らしい。落ち葉の下で冬眠し、寒さをじっとこらえて翌年羽化し、真っ白なドレスを纏い、ふくよかな腹に黒と紅色の斑紋を持ったガに変身する。脂粉に蛾眉のろうたけた厚化粧は、そのまま生命の力強さだ。灯りだけではなく、焚火にも飛び込んで身を焼く。その名も「白火取蛾」。

831 グリーンタフ

グリーンタフ長流川上流の徳舜瞥川との合流点から見た下流方向。右岸に久保内発電所への用水の取り入れ口がある。その裏手、写真中央から右手の崖は薄緑がかっていて、地質図に照合すると北湯沢地域を含め、2㎞上流までグリ-ンタフとなっている。中新世(2300万~500万年前)の海底火山の噴出物だ。地質図には、接して黒色頁岩層も表記されている。ぜひ手に取って確認して見たいものだ。

830 時の形

洞爺湖洞爺湖ととなった巨大カルデラは10万年前の出来事。中島は5万年前の噴火の姿であり、向うの有珠山は2万年前に誕生し現在はこの形。ここは洞爺湖美術館。何ともいい形に刈り込まれた樹がある。ビャクシンだろうか。湖の周囲には有珠山の2000年噴火復興を祈念した58基の彫刻が置かれているが、負けないくらいの造形だ。美術館では洞爺湖ビエンナーレの作品展が開催されていた。

828 いつもの冬

有珠山の雪有珠山に雪が来た。夏には緑に包まれる。こうやってこの山は2万年を過ごしてきた。3万年ほど前にシベリアからやってきた後期旧石器時代のホモ・サピエンスたちは、遠く近くにこの山を見ていただろう。1万数千年以前は氷河時代で、その後縄文時代を経て、その末裔の私自身はあと何回緑の季節に出会えるか。この山は火山としてはまだ若い山だ。噴火しながらこの山はまだ続く。

827 時代の風景

カムイチャシ豊浦町礼文華の岬にあるカムイチャシ。アイヌの人々の祀りの場であった。1万数千年年前の氷河期には噴火湾全域は陸地だった。向うに見える有珠山は若い火山だったろう。氷河期が終わり、縄文海進期(6,500年前-6,000年前)の温暖な時代の海水面は5mほど上昇していたという。この海にハマグリが生息していた時代、今の東北地方の植生がここにあった頃の風景を想像してみる。

824 ハクチョウが帰ってきた

ハクチョウ11月11日。伊達市上長和町、道央自動車道の長い橋梁の下の刈田にハクチョウを見つけた。遠目でオオハクチョウが見えた。コハクチョウは?灰色の亜成鳥も含め50羽。シベリアから帰ってきたこのグループ、何処に落ちくのやら。例年の通り、長流川の河口を塒にするのだろうか。今年はどんな冬鳥に出会えるのか。オジロワシ、オオワシはどのくらいか。マガンの群れに出会えるか。

 

823 実山椒

山椒11月6日ともなればいつもの年なら初雪もあるのだが、日本の東にある大きな高気圧のおかげで暖かい日が続いている。寒くなる前の庭じまいのチャンスだ。山椒の実が夕日を浴びて赤い。道南はサンショウの北限。初夏の青い実は冷凍にして、赤くなった実は乾して黒い種子を取り除いて使う。北海道だから身欠きニシンや干鱈とコンブの佃煮をたっぷり作る。もちろん四川麻婆豆腐も。