1016 回帰するいのち

シロザケ豊浦町貫気別川にあるインディアン水車。川の流れを利用してサケを捕獲する方法だがここでは電動。採捕後採卵され、孵化、放流、4、5年後に母川回帰となる。回帰の生理学的メカニズムは単純なものではないようだ。耳石や遺伝子解析などをもとにオホーツク、ベーリング、アラスカ湾を巡る回遊ルート明らかになってきたとのこと。壮大な旅の最終章。この面構え、ただ者ではない。

1015 エビガラスズメの幼虫

エビガラスズメ丸々太った芋虫が道路を横切ってゆく。人差指くらいで8㎝もある。二匹に道端まで御出で願って撮影。色にはバラエティがあるらしい。蛹になる場所を模索中だったのかもしれない。見事な生き物に出会った。親もまた迫力を持った蛾で、夕方耳元近く風を切って「ブーン」と小気味よく飛ぶ。揚げて食べると美味しいと読んだことがあるが、食指は動かない。昆虫食の草分け。本当かな。

1014 今年のウメ仕事

梅仕事庭に一本ある豊後梅がたっぷりと実を付けてくれた。7月29日、収量18㎏。外割り15%の天日塩で一月程漬け込んだ。今日はウメ酢からとりだして笊に載せ、三日間の天日干し。毎日一回、一つずつを裏返し、色もほんのり赤みを増してその分旨み乗ってくる。今日は本命の漬け込みだ。大きな甕に一段ずつガーゼに包むように漬け込んでゆく。最後に梅酢を振りかけて梅仕事は終了。

本州に比べると一月遅れのウメ仕事だが、あとは最低一年寝かせてゆっくり味わうのは同じこと。3年目位が一番美味しく滋味を増す。ふくよかに熟成した梅干しが、芳醇で濃厚な梅酢の蜜を滴らせ、ガーゼの褥に包まれて取りだされる日が目に浮かぶ。

1011 エエネソウ

エエネソウ有珠湾の入り口をガードするようなポロモシリ(大きい・島)とモシリ遺跡のありシピタルモシリ(レプタモシリ)との沖合200mの岩、エエネソウ(とげとげのある岩)。海鳥の糞で白く目立ち、Google Earthでも確認できる。潮位が低いので潮間帯の生物が観察でき、見事に成長した粒よりのイガイの群落がみられた。藻類が生育した褐色部分は潮間帯で満潮時には水面下となる。

1008 海から見るアルトリ岬

海から見るアルトリ岬有珠アルトリ海岸ネイチャーハウスの福田茂夫火山マイスターに、この岬周辺を海上から案内していただいた。海岸線から見ると伸びた長い岬だが、沖合からはまさしく島。有珠山の山体崩壊の名残りの「流れ山」だ。有珠山を構成していた岩石がそのまま磯になっている。今は草地だが本来は有珠湾入り口のポロノット(大きな岬)のように、鬱蒼とした樹木で覆われる植生だろう。

曇っていて有珠山が見えないのが残念。海からの有珠山は実に雄大なのだが。逆に、有珠山外輪を歩きながら見るこの起伏に富んだ海岸線は実に美しい。この岬はアイヌ語では「イソキソキ」=「頭を・打ち付ける・もの」、つまりキツツキを指すという。アルトリの名は画像右奥に見える海岸のあたりを指し、有珠コタン(集落)から見て「遠い方の浜」の意味だという。(森・水・人ネットHP参照)

1005 子ギツネのサクランボ

s-kDSC_5278_edited-1今年生まれたキタキツネの子がやってきて、落ちていたサクランボを食べていた。尾の先が3㎝位白い幼いキツネ。ためらうことなく、ちびっ子たちのために作ったツリーテラスにも上り、自慢顔。ほかの3匹の兄弟もどこかで自分の場所を見つけているはずだ。この季節を過ぎると、親から激しく攻撃されて、どこかへ行かざるを得ない。来月8月は子別れの儀式となる。(台所の窓から)

1004 接合資料

接合資料石核と原石石を割って石器を作り、もとの石の形に復元する。これがなかなか難しい。だから面白い。丸石のハンマーで作った尖頭器様の石核。使用した石材は長流川の河原の硬い凝灰岩。ここは石器に使われる黒曜石、珪質頁岩のない地域だ。旧石器から縄文の時代、人々は生活に必要な道具をどのように作ったのだろうか。私も指先に傷を負いながらせっせと石を打つ。足元に散らばった破片を寄せ集め接合してみた。立体パズルだった。 発掘された破片などを接着したものを接合資料というそうだ。そこからは素材の原型、石器製作の手順や、道具、テクニックの良し悪しなど、作り手の人間像までが見えてくるという。

私は\遺跡からの遺物を研究する専門家ではない。遺跡の発掘作業に立ち会ったこともない。文化人類学的好奇心から、動物の道具使用、人類の進化と文化の成り立ち、変遷に興味がある。我々と同じ手、身体、頭脳をもつ人々が、身の周りの自然をどのように利用したのか。石器作成の技術そのもの、伝承のされ方、生活の中での意味合いや応用などについて知りたいのだ。

1003 4匹の子ギツネ

子ギツネたち2匹のキタキツネの子が、と思っていたら、なんと4匹だった。それもハシボソガラスガラスの巣のすぐそば。巡ってきた季節は新しい出会いをこんな形で提示してくれた。減少する一方の野生だが、私の杞憂をどこ吹く風と、その強さ、したたかさを見せつける。子ギツネたちには過酷な世界が待っている。これからが野生の本領発揮だ。カラスは庭から、キツネは二階から撮影した。

1002 新しい家族

ハシボソガラスここをテリトリーとするハシボソガラスに子供ができた。それも4羽。9年も前から続いたつがいの雄が去年いなくなって(死んだと思う)、新しいオスとの間にできた子だ。嬉しいね。家の前の大きなクリの木に4羽の姿。子ガラスは騒ぎ立て、しゃがれ声で餌をねだる。二羽の親はせっせと餌を運ぶ。このひと月はさぞかし賑やかなことだろう。ご近所さんも大目に見てやってほしい。

1000 昭和新山の植生

昭和新山2019年3月13日、昭和新山誕生74年目を迎え、動く大地の植生を勉強すべく、10人の火山マイスターが集まった。頂上ドームのサンゴ岩はまだ熱を持ち、噴気を上げている。地熱のある地表はエゾシカのたまり場になっていた。まったく無生物の世界だった場所が林へと遷移し、多様な植生と生き物たちの世界が作られている。5月からは研修に来る高校生らに、この魅力に満ちた、生きている自然をどう伝えようか。

2011年10月26日にブログ 1「温泉の化石」を up して以来、1000回目となりました。火山マイスターとして洞爺湖有珠山周辺の多様な自然のありようを皆様に発信しようと思い、現在に至りました。「仁左衛門の不思議な世界」にお立ち寄りくださった方、ブログをお読みいただいた方々に心より感謝致します。更新のペースは落ちると思いますが、ブログはこれからも続けようと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。