76 ホースラディッシュ

ホースラディッシュ 北海道人ならお馴染のホースラディッシュ、和名セイヨウワサビ。雪が溶けて落ち葉の中から顔を出したのを掘り上げるのが旬。下ろして醤油、味噌、マヨネーズ何とでも相性が良い。サラダ、ローストビーフのみならず、勿論、刺身にも。昔からの粉わさびは100%この粉末だ。根出葉は不食。根の断片からでも繁殖するすぐれもの。粗放さ姿と、がしっとくる辛さは北辺の野伏せりだ。

73 世にはばかる

アメリカオニザミ アメリカオニアザミ、鬼がついている。昭和新山の日当たりのよい斜面のロゼット葉。地上部分は全草硬く長いとげだらけでエゾシカも食べない。いったん野生に広がって繁殖してしまった生物は退治するのは不可能だ。退治に金を使わず諦めるのが精神的にも良い。何とか食べてしまうなり生活に活用するのが最も健全だ。不味くはなさそうだが棘が問題だ。この憎まれっ子どうしよう。

68 海蝕洞

海蝕洞 室蘭の絵鞆半島の太平洋側には100mを超す切り立った断崖が随所にある。岩礁には潮上帯から潮下帯まで豊かな生物群集が見られ、特に潮間帯の群集は北太平洋を特徴付ける実に見事な生態系を形成している。この海は生物地理学上かけがえのない要衝の地なのだ。白い断崖はかつての海底火山の噴出物だ。その下部にはいくつもの奥深い海蝕洞が口をあけている。

海蝕洞Ⅱ 室蘭市はあまり海岸の素晴らしさには眼を向けていないようだ。祖先が残してくれたイタンキからエンルムエトモまで緑なすミズナラで覆われていた丘陵や山は削られ、あれよの間に防波堤が沖まで伸び、岬や小さな入り江は埋め立てられてしまった。この街が誇りとし拠って立つところは、岬に囲まれた小さく豊かな入江と、生きものたちが安らげる自然のままの海しかないのだが。

65 春は窓辺から

ミズキ といっても、窓の内側のお話。四月七日だというのに外はまた雪が降っています。先日のブログ「58 時を撃つ」のミズキの小枝をガラスの花瓶に挿しておいたらきれいな芽が出ました。とてもかわいい窓辺の春です。小豆色の枝の先に見事な新緑。生命の春です。見た目、美味しそうだけれど食べてしまうのはなんだし、雪景色を向こうに見ながら、手もとの小さな春を楽しみます。

61 フクジュソウ

フクジュソウ 庭の雪が融けたらフクジュソウが咲いている。雪の下の暗闇で目を覚まし明るくなるのを待っていた。体内時計は確実に機能している。昨年は3月14日だった。光刺激なしに冬季の休眠期間を終えるシステムは何なのか。開花への機序を解発する物質は?陽を受けると花弁は凛として反り返り、花はパラボナとなって光と熱を蕊に集める。花心の匂いに集まった虫達は花粉を運び、ことは着々と進んでいく。いよいよ春だ。

58 時を撃つ

ミズキのパチンコ ミズキは昔から身近な木だった。何と言っても形がいい。直立した幹、小豆色も艶やかに水平に広がる枝。昔、親から頼まれ繭玉の枝にも伐ったが、Y字型の枝でパチンコを作るのが一番だった。なんでも標的にした。廃屋の錆びた煙突、空き缶、野犬も撃った。今、この歳にして肥後の守を握り、糸の端を咥えパチンコを作る。完成した武器を手に春の野に出た。弾は金魚鉢の小砂利。が、撃つものがない。風が吹く。

57 ヒツジが一匹ヒツジが二匹

オニグルミの葉痕 言われてみればそれに見えてくるもの、身近で面白いのが葉痕。ヒツジに見えるでしょう、上にももう一匹。これはオニグルミの葉が落ちた痕。去年の春は児童館の子供達とこれを見つけて遊びました。・・・ヒツジが二十七匹、ヒツジが二十八匹・・・。早春は葉もなく枝の先までよく見えて子供達は大喜び。やがてヒツジたちは軟らかな新芽の下に陰に隠れ、下草も茂って林の繁みの中のどこかに溶け込んでしまいます。

56 飛んで飛んで回って回って

アカエゾマツの球果ドイツトウヒの球果(マツカサ)が机の上で乾燥し苞鱗が開き、翼をもった薄い種子がこぼれ落ちていた。椅子の上に立ち種子を放すとよく回りながらゆっくりと落下する。私たちは気がつかないが、種子は私たちの頭上を飛んでいる。クルクル回りながら、吹き上げる乾いた風に乗って谷を越え尾根を越えて飛び続けている。着地した場所が良ければ幸運、不運なものは地に還る。

47 木の根あく

サクランボ 今年の冬はいつもに増して寒かった。雪が深く踏み込めなかった裏庭にも春の兆しが見えて、木の根がの周りに土が見えている。果樹の枝打、剪定に取り掛かれる。サクランボは今年太い樹を二本切り倒す。老いた樹になっていて、その上それほど世話もしなかったので、この数年収穫があまりない。若い樹に更新の最中だ。今年のリンゴとサクランボの収量はどうなるだろうか、それは今のところ判らない。

43 マツの実の滋味

マツの実を食す 暮れに収穫したチョウセンゴヨウ(朝鮮五葉松)のマツカサから硬い種子をほじくり出し実(胚乳)を食す。松脂が多いので靴底で揉んで収穫するのがコツだ。小さいが滋味が舌の奥に広がる。日本には無かったが、古代から世界中で食の素材となった。酒のグラスを傍らに、金槌で軽くピシッとやってもいいし「石器」を使ってもよい。その気になって探すとよくある樹です。お試しあれ。