238 三つ葉の紋どころ 投稿日時: 2013年6月6日 投稿者: nizaemon 遊歩道のわき、蔓性の若葉が伸びている。画面左の丸みを帯びた葉はツルアジサイ、右側の三枚葉はツタウルシ。少し遅れての登場だが、今一番の元気者、強面の登場だ。「この三枚葉が、目に入らぬか」 知らねばそれで済むのかもしれないが、この時期、この三枚葉には注意が必要。野生のウルシでは最も毒性が強く、ツタウルシ皮膚炎はPoison ivy dermatitisと言う。
236 秘密の花園 投稿日時: 2013年5月31日 投稿者: nizaemon 室蘭の外海の海岸線は地形にしても生物の棲家としても実に多様で、植物、動物の種類も豊かだ。まさしく豊饒の海である。だが残念なことに、人の手が入るとたちどころにコンクリートで埋め立てられ波消しブロックが入り、おまけに育苗、栽培漁業と銘打って味気ない海に変容する。自然の磯や浅海が生態系を支えるもっとも優れた揺籃の場だというのに。じり貧の海が迫る。
232 相互扶助 投稿日時: 2013年5月28日 投稿者: nizaemon コアカミゴケ。有珠山山頂近くのコスギゴケの群落の中で。コケではなく菌類と藻類の共生体。雨などの後は水を吸収して軟らかいが乾燥すると指先で灰色の砕片となる。極端な痩せた状態の中で、カビに近い菌類は菌糸で形態を維持し藻類は光合成産物を提供する。赤いのは盃状の子器で菌類としての繁殖器。学名は菌類として命名されるという。
231 コケのはな 投稿日時: 2013年5月27日 投稿者: nizaemon 蘚類とは分かっていた、スギゴケとは推測できていた。やっとわかったのがコスギゴケ。銀色のペパーミントグリーンの蒴(胞子囊)と蒲色の蒴柄。洒落た色使いの根元には雄花盤が見える。長年の課題が解決した。有珠山山頂に近く、1977噴火の後、数年かけて隆起した有珠新山の背面、広範囲にこのコケの群落があって、そこにはヒカゲノカズラ、マンネンスギ、アスヒカズラなどのシダが共に生育する。
230 赤い血 投稿日時: 2013年5月24日 投稿者: nizaemon 林道で見つけた切断された白樺。昨年11月の湿った重たいドカ雪で折れた樹を片付けたのであろう。根は生きていて、この春、新芽を精いっぱい吹き出すべく樹液を汲みあげたが、如何せんその先はなかった。白い樹皮に赤い血。甘い樹液に天然の酵母が飛び込んで発酵し、さらに赤かびの一種が繁殖したらしい。一つの命に、たくさんの生命体がぶら下がっている。やるせなさが残る春の不条理。
229 春を数えて 投稿日時: 2013年5月21日 投稿者: nizaemon 春を迎えて輝くような萌黄の林。1944年、今から69年前、左に見える斜面の昭和新山は激しい噴火を繰り返し、この風景は火山灰で覆われていた。噴火の終息後、先ずやって来たのがこのドロノキだ。パイオニアツリーとして先陣を張り、同胞ともども風雪をともにしてはたから見ても惚れ惚れとする一斉林。でも寿命は百年足らずで、数十年先にはこの姿はない。林内ではミズキ、ハリギリ、ミズナラなど次世代が育っている。
228 哀れ春の雄花 投稿日時: 2013年5月12日 投稿者: nizaemon 昨年11月の湿った大雪で、一夜にして多くの樹や枝が折れてしまった。根雪に埋まっていた折れたドロノキの大枝が、オオウバユリの新芽の上で雄花を咲かせている。珊瑚のような、血のような、因縁めいた春の色。ドロノキはここ昭和新山に先駆植物として、火山灰の上に生をなしたPopulus 属(ヤマナラシ属)のヤナギだ。雌雄異株で、雌株の花序は綿毛となり、Salix属(ヤナギ属)より遅れて柳絮となり新開地をめざす。
225 私はダフネ 投稿日時: 2013年5月1日 投稿者: nizaemon ナニワズの花。雌雄異株と言うが、雄株は不稔性というだけで、どちらも両性具有の曖昧さが付きまとっている。左は雌株、右は雄株で、見た所大きさと言い色と言い外見上は明確に判別が付くのだが。香りは強いが好き嫌いは分かれる所。沈丁花の薫香とは少し違う。222でアポロンから逃げたダフネと書いたが、身の内は色々あって、悩めるダフネであったのかもしれない。
223 梅干 投稿日時: 2013年4月29日 投稿者: nizaemon 知人宅へ自家製の梅干しを送った。2010年収穫の3年物だ。器量は良くないが味に深みが出ていて、この辺りが一番美味しいかな。10年前、当地へ越して来た時に頂いた「豊後」の古木。5月の半ばサクラと一緒に咲いて、8月初旬に収穫、1ヶ月漬けて9月の晴天を選んで2、3日干す。ほんのり色付いたのを地下室で1、2年熟成させる。一般に、北海道では収穫の遅れからか、干さずに「梅漬け」として食べるようだ。
222 北へ逃げたダフネ 投稿日時: 2013年4月29日 投稿者: nizaemon 北の落葉樹林の明るい南斜面にナニワズが咲いている。北海道には数少ない常緑の花木だ。夏には葉を落とすので「ナツボウズ」の異名がある。スプリング・エフェメラル(Spring ephemeral)=春の妖精 の木本バージョンだ。Daphne 属、だとすると、ジンチョウゲ属、沈丁花の仲間だ。川の神の娘ダフネはアポロンの求愛を逃れて、やがて樹に姿を変えたという。春先の林床に秘められた隠しきれない恋の残り香。