411  パラサイトの華

マスタケ生理的関係を持ちつつ共に生きる生活パターンに「共生」があるが、一方に利、主たる他方に害がある場合は「寄生」だ。ヤドリギがそれに近い。近くの果樹園から頼まれてキノコの判定に出かけた。50年経つという一抱半もあるプラムの老樹の幹からせり出していたのは見事なマスタケ。樹幹の木部には菌糸が盛大に繁殖しているのだろう。動物なら獅子身中の虫。色が鱒の身に似ているのでこの名がついた。軟らかな若い時には「フライ」にできるらしい。

410  LかCか

エルタテハホワイトプラムの表皮に菌が付くとプルーンと似た紫色になる。発色の機序に何か秘密が、、と考え込んでいたら、やって来たのはエルタテハ。真剣に果汁を吸っている。このグループ、ひらひら飛んでいる時は分かりにくいが、いったん降り立つとそれぞれの色や形に際立つ判別点があって興味をそそられる。この種は羽裏の白斑がL字。Cならシータテハ。いま見かけるのは7月に羽化した新成虫。このままの姿で冬を越し、春一番の蝶となる。頑張れ。

409  枯れ木も山の大賑わい

北のアジサイ紫陽花が満開で。この写真のアジサイの花、半分はドライフラワー。北海道ではこの花は8月前後から咲き始める。それからが大変だ。10月霜を受け、11月には初雪となる。1月2月は吹雪に晒され爽やか色も抜け落ちて、試練を乗り越え生成りの色にたどりつく。根雪も溶け新芽を経てのこの季節、周年咲き誇る万年花。ひょっとするとこの中には3年目の花もあるのかも。めでたいね。

408  収穫への配慮

つがる早生の品種の「つがる」が日増しに肥大して行く。「この分ならあと半月もすると」などと採らぬリンゴの玉算用をしていたが、枝先にぶら下がっていたリンゴに傷を見つけた。この間の大風であおられて隣りの枝の剪定した切り口に当たったらしい。リンゴの摘果の留意点は沢山あるがこれは基本のき。「枝先に実を残すな」だ。壮瞥町はリンゴの町。笑われるぞ。

407  キイロスズメバチ

キイロスズメバチ朝、庭食をしていたらキイロスズメバチが皿のバナナに集まって来た。最初は一匹だったのだが。10分も経ったらこの通り。庭のツタの繁みの中の花に集まっているのは知っていたが、、。普段はツタの横を通っても手で追い払っても別に問題はないのだが、食べ物に夢中になっていると攻撃的にもなる。何とか皿から追い払い退散ねがったが、次の朝もやって来て、この時は明らかに気が立っていた。

406  未来への開拓者

カツラの大木の下に集まって壮瞥町の子ども郷土史講座は今年で32年目。火山とともに生きる町で沢山の子どもたちが育っていった。今年は有珠山登山学習会、昭和新山学習登山会、洞爺湖の自然生態の学習会が行われた。4回目の今回、私も参加し「紫明苑で学ぶ歴史と遊び」で子どもたちと学び遊んだ。紫明苑は開拓時代のシンボルとなる建物と園地だ。その歴史を知り、独楽まわし、けん玉、糸でんわ、紙ひこうきなどで遊んだ。子供たちは一つのテーマ、15分も有れば精一杯覚え楽しんでくれる。全能力で一つの遊びに燃焼しきる子どもたちには到底ついてゆけない。彼らの活力に完敗、彼らの未来に乾杯。

403  ノラニンジン

ノラニンジンニンジンの野生化種なのか、原種なのか分からない。Wild carrot として欧州、北米にも分布する広域分布種だ。少しニンジンの香りがするという根は硬くて食用にならようだ。散形花序の中央の赤褐色の飾り花弁はよく目立って、花にとまっている昆虫にも見え、飛翔中の仲間を誘引する役割を持つのかもしれない。イングランドのアン女王がレースを編んでいたとき、指先に針を刺して流した血の一滴だともいう。

402  わが家にも壮瞥穴

壮瞥穴隣地との境界に壮瞥穴が見つかった。このところの雨水が流れ込んで出現したようだ。壮瞥町滝之町一帯にある直立したまま埋もれた巨木の跡の空洞である。腐食した樹が残っている場合もある。この近辺で10カ所くらい確認している。7千~8千年前の有珠山山体崩壊の一部が長流川を堰き止め、壮瞥町が湖水になった時の埋もれた林との説を私は信じている。開拓時代には農耕馬が嵌ったとか子供が藪へ入らぬようにしていたなどの話が残っている。

401  夏はハンモックで

ギンモンハモグリガ庭の果樹の面倒をおざなりにしていたら、リンゴに枯れた葉が目立った。近くの葉の裏には細長い繭がいくつもついている。幾本かの太く束ねた糸に支えられて繭が浮いている。針の先ほどの「みどりご」はここで蛹として仮の眠りをし成虫へと羽化する。成虫の翅の紋も透けている。成虫は樹皮の襞などで長い冬を耐えに耐え、来年また子を産む。「ギンモンハモグリガ」がこの虫の名前。葉肉のみを食害するそうだ。

399  棘ある果実

ハマナス海辺でハマナスの実を見つけた。特大の珊瑚玉だ。学名Rosa rugosa。 種小名は縮れた葉から来ているのか皺の意味。英名はJapanese apple rosehips。イギリスの図鑑にはrosehipの形の違いが20種ほど載っていたが大体は球形か棗型である。ハマナスはHip large and pendent, pumpkin-shaped.とあった。よっぽど特異な形なのだろう。よく見ると茎だけではなく実の棘も立派。この種の祖先は棘だらけの実を持っていたのかもしれない。