850 タンネシラル

タンネシラル室蘭、タンネシラル。アイヌ語では長い磯(知里真志保・山田秀三、1960)。半世紀以上前、私はこの崖地をましらのように走り回り、この海を潜りに潜った。岩肌に残るタフォニからは時の流れを、潮間帯の岩棚とその先の深みへの落ち込みからは海中の生き物たちの姿を学んだ。昔は「ハカショ」と言ったが意味はわからない。中学から高校時代、この磯での思いはつきない。

848 幹折れしたトドマツ

幹折れ稀府(まれっぷ)岳の南山麓、胸高直径60㎝を超えるようなトドマツが折れていた。一昨年と昨年、東寄りの大風が吹いて被害があった。根返りせず、地上3mあたり、応力最大の位置で幹折れしている。瞬間的によほど強い風が吹いたのだろう。地形図で確認したら、東風を集める地形だった。長い年月の経過の中、環境要因による淘汰の結果、その土地の植生が決まってゆくのだろう。

844 昭和新山南面

昭和新山南斜面雪が少ない2018年1月の初旬。昭和新山南面には雪が見えない。上昇したデイサイトの溶岩円頂丘で焼かれた煉瓦色の地肌が赤く見える。右に続く屋根山の下にも地下からの溶岩の貫入があった。葉広葉樹林はすっかり葉を落とし、手前の南斜面の植生が良くわかる。ここは勾配もきついうえ崩落直前の巨岩が重なっていて、土壌の堆積も貧弱なので、多様な植生が育ちにくいようだ。

842 新雪の有珠山

新雪の有珠山長流川中流の河原から雪をかぶった有珠山(733m)が眩しい。昭和新山のドーム(398m)は地熱のせいもあって雪が融けてしまい、赤い地肌が見えている。昨年9月の台風18号の出水で河原の様子は変わったが、ここからの有珠山は人工物が見えず実に新鮮だ。新年を迎えてからは暖かい日が続いている。厳しい寒さはこれからだが、春を待つ林の樹の枝は少し柔らかく見える。

840 サクランボウの短枝

サクランボウの短枝3月の大風で果樹の枝先は痛めつけられ、6月までの低温でサクランボウはダメだった。9月の台風ではリンゴがやられた。でもモモは大豊作(といっても2本だが)で、スズメバチもこなかった。ブドウの出来もよかった。裏庭の20本のリンゴと10本のサクランボウ。自然は糾える縄だという。来年は良い年だろう。サクランボウの短枝は弾けるほどに充実し、開花、結実を待っている。

835 ホザキヤドリギ

ホザキヤドリギ

数年前から観察しているニレの大木のホザキヤドリギとアカミノヤドリギ。今年もそれぞれが10株くらい寄生していて、黄色と赤色の実を付けた。ヤドリギは赤か黄色の実を付け常緑なのだが、ホザキヤドリギは良く目立つ房状の黄色い実を付け、落葉性だ。この種の北海道での分布はここ以外あまり聞かないが、本州ではよく知られている。

樹にはヒヨドリが来ていたが、冬鳥の「渡り」のコースに関連しているのかもしれない。糞中の未消化の粘性を持つ種子が枝にまとわりついて発芽する。(ブログ561、465、507、566、590、718)

ヤドリギは万葉の時代から「寄生・ほよ」の名で知られ、 大伴家持の歌が残っている。 -あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄生( ほよ)取りて 挿頭(かざ)しつら  くは 千年(ちとせ) 寿(ほ)くとぞ-

830 時の形

洞爺湖洞爺湖ととなった巨大カルデラは10万年前の出来事。中島は5万年前の噴火の姿であり、向うの有珠山は2万年前に誕生し現在はこの形。ここは洞爺湖美術館。何ともいい形に刈り込まれた樹がある。ビャクシンだろうか。湖の周囲には有珠山の2000年噴火復興を祈念した58基の彫刻が置かれているが、負けないくらいの造形だ。美術館では洞爺湖ビエンナーレの作品展が開催されていた。

829 ヘーゼルナッツ収穫

ヘーゼルナッツ今年のヘーゼルナッツ(セイヨウハシバミ)の収穫が終わった。苗木を植えて10年位経ったか。収穫は2年目。左は大粒のフィルバート種で右は小粒のコモンヘーゼル。日本在来のツノハシバミ、ハシバミなどがあり、先史時代から食べられてきた。生食できるのが強みだ。180℃、10分ローストするとなお香ばしい。ドングリ類とは異なりカバノキ科。来春の雄花がもう垂れさがっている。

827 時代の風景

カムイチャシ豊浦町礼文華の岬にあるカムイチャシ。アイヌの人々の祀りの場であった。1万数千年年前の氷河期には噴火湾全域は陸地だった。向うに見える有珠山は若い火山だったろう。氷河期が終わり、縄文海進期(6,500年前-6,000年前)の温暖な時代の海水面は5mほど上昇していたという。この海にハマグリが生息していた時代、今の東北地方の植生がここにあった頃の風景を想像してみる。

826 雪リンゴ・フジ

雪リンゴ・フジ我家で一番の古木、といっても30年くらいなのだが、品種はフジ。その実は硬く日持ちし、美味しさも上々。晩生で少しくらいの霜や雪にもまったく平気で、試練の中で充実し、いわゆる「蜜リンゴ」となる。今日、11月16日、気温は2℃。ゆっくりとボタン雪が降り積もり、リンゴはさらに赤く色づいた。いよいよ収穫の時期だ。この冬、大鍋でジャムを作り、残りは春まで食い繋ぐ。