294 ジオの醍醐味 投稿日時: 2013年11月2日 投稿者: nizaemon 我が洞爺湖有珠山ジオパークでは、食分野でもプロジェクトチームが発足している。今回の会議は当ジオパークに協賛してくれている豊浦町のピザ専門店 Namiheyで開かれ、ホットサンドのお披露目も行われた。入江・高砂貝塚の約5000年前の出土品のホタテの貝殻をかたどったホットサンドだ。大ぶりの中身はボイルホタテ丸々一個分と御当地のタマネギのソース。時の流れと大地の豊穣、海の潤沢が伝わって来る。
293 秋味 投稿日時: 2013年10月30日 投稿者: nizaemon 「この近くの浜で、今朝、釣ったのですが」と立派な鮭を頂いた。体長75cmの上物で、「ぶな」もさほどかかっておらず、遡上前の極上品だ。何といっても、成熟した腹子が見事。有難い。三枚にした上身は塩で絞めて干し、スモークかな。筋子は塩と醤油で漬け込んだ。この地では鮭のことを「アキアジ」というが、これこそ旬の味、「身土不二、三里四方を食す」だ。
286 命を繋ぐ海 投稿日時: 2013年10月12日 投稿者: nizaemon 西風の強い室蘭、崎守の岬。夕陽に染まる海にカモメが飛び交う。風が吹くとここの海は何時もこうだ。海は荒れる、カモメは風に浮く。ごく当たり前の情景だ。カモメはカモメ、海はいつもの海。日常慣れし、安泰化した私の眼だけが違う。人とすぐ隣にあった野性とのかかわりはこうではなかったのか。猛る自然の中でこそ私たちの命も存在していたはずだ。
285 名残りの白菊 投稿日時: 2013年10月11日 投稿者: nizaemon コハマギク。削られ、埋め立てられて、有無を言わさず作った漁港の、分厚いコンクリートと鉄錆の隙間に咲いていた。室蘭の外海に面したあの懐かしい追直(おいなおし)の浜は消えてしまった。沖合にあったニラス岩は防波堤の続きとなり、あれだけ広かった砂浜は砂粒一つ残っていない。昔、海草研究所のあった崖のあたりで、弱い夕陽を受けている一群のコハマギクを見つけた。懐かしさと侘しさが滲んだ白だ。
284 流木に乗って 投稿日時: 2013年10月7日 投稿者: nizaemon 室蘭イタンキ浜。ハマエンドウの繁みの中に流木が見つかった。何処からやって来たのか材は見事にフナクイムシ(shipworm)に喰われている。ひとつの穴に1個体ずつ、二枚貝のフナクイムシがセルロースを食べながら棲みついた痕跡だ。掘り進みながら石灰質の内張りを作る。まさしくトンネルのシールド工法。ここの海岸には軟らかい岩石に穿孔するカモメガイも生息している。
282 ここにもセントへレンズ火山 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 渡島半島の北海道駒ケ岳。ランクAの最も活動的な火山のひとつ。1640年噴火で頂上部が崩壊して噴火湾に傾れこみ、誘発された津波は対岸を襲って700名以上の溺死者を出した。 画像は岩屑なだれ先端の出来澗崎からの駒ケ岳。右手の砂原岳の稜線からかつての火山の形が想像できる。1929年には火砕流を伴う大量の軽石を噴出する大きな噴火があり、1942年にも中規模の噴火があって要注意の火山だ。
281 野生と畏怖 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 私たちの内面には自然のあらゆる事象を敬う心が備わっている。言い伝えも文字も関係なく、自然の中で岩を跨ぎ樹に凭れ物陰で命を繋ぐ中で培われたものだ。人類は勿論、ほ乳類、爬虫類すべての生きものに存在する普遍的な感性なのだ。 恵山火山の山体崩壊した火口にいくつもの観音、地蔵、道祖神が祀られている。荒らぶる景観と連接する霊交(コミュニオン)。目の前の津軽海峡を隔てて恐山がある。
280 火の山「恵山」 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 渡島半島東南端の恵山に出かけた。いつも噴火湾を隔てて遠望しながらいつかはと思っていた火山だ。4~5万年前に激しい噴火をはじめ、いくつもの溶岩ドーム形成、火砕流、山体崩壊を経て1874年の噴火を最後に現在にいたっている。崩れて広く開いた活動中の火口は画像の山頂部の陰にあたり、麓の海岸線に沿う恵山の市街からは見えない。実際に登ってみて驚いた。小さいけど見事に大きな活火山。
272 成層火山の断面 投稿日時: 2013年9月5日 投稿者: nizaemon 教科書の成層火山の断面図。そう、溶岩と降灰などの互層の図にはよくお目にかかった。しかし実際の溶岩流は決して幅広くなく、まして全方向には広がらないという。ここは伊達市稀府(マレップ)の採石場。少なくても8層の火山堆積物が見える。灰色の岩石と褐色のスコリア状の噴出物の互層だ。この岩石を熔岩と考えたが、指導の先生は「そうとばかりは言えない。熱圧縮によって固まった噴出物だろう」とのこと。納得。フィールドに出なければわからない。
263 カモメの家 投稿日時: 2013年8月28日 投稿者: nizaemon 室蘭のマスイチの岬はアイヌ語マスイ・チセ=カモメ・家から出た地名で、画面左端の岩を指す。この岩は屏風状の薄い二枚の岩で何時も風が通り抜けている。近くの入江はマスイチセ・トマリで向うの頂きはマタイコリの崖の頂上(154m)で、下の磯はケショラプモイ。深い海蝕洞のアフンルパルがある。「永田地名解」ではこの辺りを「鷲湾」だと言うが、今ではマスイチ展望台にはワシ・タカ類の渡りの観察に愛好者が集まる。