615 壮瞥シードル

壮瞥シードル我が家の小さなパーティで「Cidre de sobetsu」がお目見え。この町特産のリンゴ100%、アルコール5%の軽いお酒だ。アペリティフには丁度良い。今考えているお似合いのレシピは、壮瞥特産のシロハナマメとサクラマスのマリネ。大きくふくよかな白いハナマメと、薄塩で締めた今が旬で色の乗ったサクラマスを半日マリネする。メインディッシュは奥洞爺牛にするか。いかが?

614 カラスの下着

ハシボソガラス冷たい北西の風が吹きつけて、ハシボソガラスの胸の羽毛が、一瞬のことですが分かれました。灰色の軟らかそうな綿毛が見えました。伊達紋別港のカラスです。後ろのテトラポッドの雪の白さには負けますが、青みがかった黒く艶やかな羽根の下はグレイのダウンの下着でした。嘴には雪が、脚の爪には氷がついています。寒くはないのですか。

603 いのちの足跡

キタキツネ長流川にかかる壮瞥橋の下にキタキツネの足跡(Footprints)を見つけた。少し古いのと真新しいの。どうやら岸辺の藪の中にねぐらがありそうな感じがする。空きっ腹で幾度も足を運んだのだろう。はたして餌にありつけたのだろうか。凍り付いた浅瀬で何かを探した気配がある。冷たい水で晒されたシャケの死骸でも見つけたのか。真剣に生きる野生のひたむきさが読み取れる。

602 棒鱈の世界

スケトウダラ小さな漁港の小さな家の小さな窓にスケトウダラが干してある。タラコ、白子を取った後、こうやって自家用に凍結乾燥する。凍りながら寒風に曝されて干せて行く。昔からの間違いなしの漁村風景。叩いてむしって食べるのが手っ取り早いが、煮物の鍋の中で他の具材と旨さの相乗効果を生み出す。熱帯を除けば世界中に棒鱈の煮物がある。マダラと共に世界の近世の食を支えた魚だ。

597 塒(ねぐら)へ

ハクチョウ暗い雪雲から寒風と一緒に雪が吹き付けている。陽矢が黒い海に映るのを撮っていたら、突然、五羽のハクチョウが画面に飛び込んできた。

きょう一日、厳しかったのか充実があったのか、ひたすらに塒に向う。鳴き交わす声もなく低く飛んでいる。行く先は長流川の河口か有珠の入江。

 

595 手の跡か

初列風切鳥の翼は人の手と起源を同じくし、爬虫類の前脚につながる。珍しく5cmほど積もった新雪を歩いてきたハシボソガラスが、そこから飛び上がった軌跡が残っていた。 羽毛は爬虫類の鱗に由来するが、翅の先端の風切羽は機能から見るとコウモリ類の指先にも相当する。脚で弾みをつけ、一羽搏きで飛び上がったようだ。飛ぶことに特化し、空を手にした鳥たちには脱帽だ。

593 春を待つ顔

クズの葉痕吹きさらしの斜面でこんな顔を見つけた。お下げ髪にも角髪(みずら)にも見える。今様にはニットのウオッチャーキャップかも。これはクズの葉痕。秋、葉を落とした痕は種によって異なるが、いくつかの種では水分や養分を運んだ維管束の跡が目にも鼻にも見えて、目にするとどこか心が緩む。顔の上の春を待つ芽はまだ硬い。下の横木はオニグルミ。ヒツジの顔が見えますか。

592 救荒食・エネルギーの循環

救荒食暮れに長流川に遡上して産卵後、息絶えたホッチャレ鮭。浅瀬に流れ寄った骸は厳しい冬を過ごすカモメやカラスたちの貴重な食料だ。この川で孵化したサケは海へ下り、5~6年で成熟し、また海から川へと遡る。エネルギーはこうやって移動し、陸上の生き物たちによって消費され、大地へと還元される。昨日この川でオジロワシ、オオワシを13羽数えた。キタキツネも姿を見せる。

590 ホザキヤドリギ

ホザキヤドリギ幾度かブログで取り上げたが(ブログ465、507、561、566)、今年も見事な金色の房を下げている。この植物と出会って一年たちました。この地方の情報は入ってこない。下北、恵山、室蘭など渡り鳥のルートと関連ある情報でも入手できないかと都合の良いことを考えたりしている。右下に見える常緑のアカミノヤドリギもまだ実を付けている。雪が少ない冬で野鳥の動きが違うのか。

586 洒落者・カササギ

カササギ満州北部、老爺嶺・ハンダオヘーズ(横道河子)付近の豊かな自然描写で知られる作家バイコフ(1872-1958)に「こそ泥のココ」というカササギの話がある。「何ともすばらしい才能を持った鳥でココのことを詳しく書いたら一冊の本になるだろう」とある。道南にも繁殖の情報も有り、いつかはと思っていたが室蘭祝津の市街地でやっと出会えた。