257 紅の主(くれないのあるじ)

ニホンアマガエル紅いスイスチャードの芯に居座ったアマガエル。紅い世界の玉座に着いた。スイスチャードは野菜だが食品としてはまだ一般的でなく、日本人の口にはイマイチだ。私はもっぱら寄せ植えに使う。茎と葉の壮健さはコリウスと合わせると他を威圧してはばからない。アマガエルも見る目が高い。そこから見上げる世界はいかに。

256 濡れ烏

濡れ烏大雨となった日、家の前を流れる泥水を背に、ここにテリトリーをもつ5歳のハシボソガラスの雄。しとどに濡れ、胸の分け目に白い羽毛が見えている。いつもの精悍さも消え失せて空腹で、これでは重くって飛ぶこともかなわない。元気を出せよ。髪は烏の濡れ羽色。紫や青緑の干渉色の浮かぶ艶やかな女性の黒髪の褒め言葉だ。豪雨も当たり前が自然の成り行き。雨が止んだら洗い髪に浴衣姿で出ておいで。