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おなじみさん 周囲43kmの洞爺湖湖畔には58基の野外彫刻が点在している。「とうや湖ぐるっと彫刻公園」だ。野にあって初めて生命を得る造形群。緑の風の中、湖面や島影と重なる作品はいずれも「生きている」ことを謳い、豊かな自然を讃えているようだ。生活感あふれる裸婦像は近隣に住む人たちとも馴染んで、顔見知りの知人のような存在だ。そのほか、湖を渡る風に遊ぶ少女も居れば、独り湖を眺める少年の像もある。荒ぶるオテナの風貌にも似た彫像もある。蒼空を映す鏡面の造形も、大地の移ろいを感じさせる石彫や石組みもある。いずれも力量あふれた作家たちの手によるものだ。フルマラソンの距離ぴったりのなだらかな湖畔、サクラの花と新緑の下を彫刻をめぐりながら心地よい汗をかくのも「洞爺湖有珠山ジオパーク」の楽しみ方。自転車ならばゆっくり半日コース。

89 興奮冷めやらず

西外輪の地温 2000年の有珠山噴火は前兆地震と山頂に近い西外輪の地表にできた亀裂の発見で始まった。しかし、実際の噴火は西山山麓の国道脇から始まった。西外輪には最初にヘリから目視された亀裂の跡がまだ残っていて、地温が地表から50cm下では90℃もある。12年経ってもまだ熱源からの補給が続いていて、地面の火照りは収まってはいない。(有珠山学習登山会にて)