938 アカヤマドリ

アカヤマドリ傘の径10㎝程の成菌。すでに色といい周辺のひび割れといい存在感は他に類を見ない。成熟すると傘は20㎝にもなり、黄色と樺色の縦縞はいよいよ凄みを増して、ルイス・キャロルの原画の笑うチシャ猫が彩色されて出てきたようで、突然出会うと驚いてしまう。図鑑には「可食」とあり、「おいしい」との評価もあるが、迫力に負けてなかなか手が出ない。ピクルスでも作ろうか。

918 ヒトヨタケ

ヒトヨタケ倒れんとする老樹の下でヒトヨタケを見つけた。木材のリグニンを栄養としながら、一夜で溶けるはかない命。次世代の胞子を残しながら、人の時間からいったらほんの瞬時に地に戻る。それに比べて、 われら Homo sapiens は100年を窺がう程の齢を得たうえ、この地球上あらゆる所に盛大にはびこっている。雨の後いつも斜めになって、このくらいの群れ。何を話しあっているやら。

893 トガリアミガサタケ

トガリアミガサタケサクランボウの樹の下に溜まっていた落ち葉を持ち上げて、今年もこのキノコは忘れずに顔を出してくれた。二つに割り乾燥させると一段とこくと香りが強くなる。年に一度の春祝いの一品、今年のメニューはどうしようか。去年のアーリオ・オーリオのシンプルパスタは旨かった。鶏肉のキッシュを作ろうか。いや鶏肉を使うならクリーム煮もいい。一緒の野菜は裏庭自生のアスパラか。

809 これぞマイタケ

マイタケ室蘭岳産の見事なマイタケを頂戴した。ちょうど成熟しきって実に新鮮、汚れもなく香りもいい。ハラハラと砕けるのを量ると500g。どう食べようか。出来上がったのはマイタケご飯と豚肉との煮物と、極めつけは網で焙って天日塩を振っての一皿。ご飯が炊きあがったころには部屋中がマイタケの香りで満たされた。これぞ大地の味、野生の匂い。極上の食卓となった

635 シャグマアミガサタケ

シャグマアミガサタケ知る人ぞ知る赭熊網笠茸。かなりの毒菌だ。加熱中の蒸気にも毒性があるという。北欧では骸骨印の注釈付き料理法が確立?してるというが、恐ろしい中毒症例を知ると手も出ない。留守中に置いていった本人に急いで連絡すると、「やっぱり、シャグマですか」と落ち着いた声が返ってきた。怖いもの見たさ、物好き心などの好奇心は、住む世界をより深い知的悦楽へと誘ってくれる。

558  タケリタケ

タケリタケ一週間前、ポルチーニ、つまりヤマドリタケを探していて、「らしい」こいつが見つかった。室蘭キノコの会の展示会へもっていったら、やはりタケリタケとのこと。数年前、この展示会で実物を見たが、自分の手で確認したのは初めて。テングタケ属にボタンタケ科ヒポケミス属の菌が寄生し、傘は開かずこのような形態となる。この画像の宿主はテングタケかベニテングタケ。天狗を封じる、その名も恐ろし「猛り茸」。

498  春の頂き物

トガリアミガサタケ庭の落ち葉の下から今年もまたトガリアミガサタケが顔をだし、大振りのが十個ほど採れた。二つに切って数日乾燥させると極上の乾燥モリーユ。パスタなら旨いソースが出来上がるし、生クリームを使った肉料理も間違いなしの味。この季節の初めての野生からの頂き物。春の女神はグルメなようで、毎年この時期、忘れずに裏庭に配達してくれる。

470  卵だけ

タマゴタケキノコ愛好会の仲間のために作った一品。タマゴだけのタマゴタケ。集まりには風邪でダウンして出席できなかったので、写真でお披露目と相成り候。ベースは鶏卵の中華風煮卵で、台湾では「茶葉蛋」としてごく普通の食品である。味はウーロン茶葉、八角、シナモン、生姜、紹興酒であり、醤油味で二日かけて完成。ご本尊の赤いタマゴタケは室蘭産ウズラ卵のご当地ものにて御座候。この季節は地吹雪舞う地面の下で、あと半年先を夢見てひたすら熟睡中だ。今年の夏、深い山の林床で出会えることを願いながら、こちとらもまた、首にマフラー巻き付けて半身は布団の中の沈澱中。

428  カワラタケ

カワラタケミズナラの切断面に生えたカワラタケ。白い縁取りで青味の強いタイプ。単毛に覆われてビロードの光沢がある。何かの絵図で見た古代中国の青いよろいを思い出す。北京にある世界遺産天壇の瓦屋根も深い藍色だった。日本なら信楽の青生子の火鉢の釉薬だ。たかが食膳にのぼらぬキノコと言いながら、この青い色は多くの記憶を引き出してくれる。広葉樹や針葉樹の枯れ木などに群がって発生する白色腐朽菌。人里、山奥、世界中に見られる。

414  香りのハナビラ

ハナビラタケ知り合いから「これ何ですか」と純白のキノコを頂いた。ずいぶん大きな株だったそうで、もちろん「何処で」は言わないし訊かない。「食べました、美味しかったです」と味の評価も添えてキャベツ1玉くらいのを頂戴した。即座にハナビラタケと判断した。40年前、蓼科山で採ったが、それ以来食べ頃のには出会っていない。炊き込みご飯、マリネにしたが、色、味、香り、歯触りすべてに最上等品。ごちそうさま。