1124 チョウセンゴヨウ

チョウセンゴヨウ洞爺湖畔のゴヨウマツの下に実生の若樹を見つけた。この樹の松かさは松脂にまみれ、大豆大の種子が挟まっていて、その中には美味しい「松の実」が入っている。硬い種子が割れて発芽するイメージを持っていたが、掘り出したら何と丸ままの松かさの中から発芽していた。実は数万年前の旧石器人の遺跡からも見つかっている。連綿と続く太古からの縁を思い、この若樹を裏庭に植えた。

1120 ツバキ一輪

北のツバキ酒田から象潟へ奥の細道をたどる旅の途中、芭蕉翁も通ったという崖の上の道で拾った丸い種子。実生で育て数年庭に出したが寒さに耐えきれず枯死寸前で室内へ。8年目でやっと小さな花を一輪付けた温室育ち。知っている豪奢な花ではないがいとおしい。青森夏泊半島の海岸近くにある北限のツバキ林は立派だった。道南でも厳しい寒さが無い地域なら何とか庭でも楽しめるのだろう。

1117 名残りの一房

ポートランド玄関わきのブドウ「ポートランド」が今年もたっぷりと実を付けてくれた。収穫は一月も前だったのだが、葉の陰に隠れて、いくつもの小さな房が残っていた。甘く爽やか味と、独特な風味(フォクシー香)が好きで十年も前に植えたものだ。今朝は氷点近くまで気温が下がり、草地は霜で真っ白だった。今日はこの冷えた一房。10粒ほどだが、円熟にして濃厚な、極上の一房が食べられる。

1116 樹と嵐

折れた樹洞爺湖勉強会で中島の裏側へ回って驚いた。折れたトドマツがそのまま立ち枯れている。6年前の8月30~31日、台風10号が強風を伴って太平洋から日本海へ抜けた。風は中島の中央にある平地・大平原からこの隘路を湖上へと吹き抜けた。強い風は太い樹を根こそぎ倒すが瞬間的な烈風は否応なく幹の真ん中をへし折ってしまう。強風の凄まじさが人手の入らない自然の中に残こされている。

1115 イタリアトマトのソース

ルガンティーノ充実したトマト、イタリアトマトがまた手に入った。早速トマトソースを作る。オイルにガーリックの香りを移しタマネギみじん切りをソテー。水気の少ない果肉を潰しながら加熱し、天日塩、ハーブミックスのエルブドプロバンスと裏庭の唐辛子を加え煮詰める。まろやかで濃厚、芳醇な赤いソースの出来上がり。ひと味個性を加えると、パスタに、肉料理に、中華、和風に、縦横無尽。

1114 突然ですが

ルガンティーノ隣町、豊浦町産という白ナスとトマトを頂いた。それと我家のクッキングアップル、ブラムリー。白ナスはよく知られていて、炒め物でおいしいが当地ではまれ。稜をもち存在感のあるトマトは濃厚な果肉のイタリア品種。扁平なリンゴ Bramley は熱をかけるとホロリと溶けるイギリス種。食の新情報も世界中でシャッフルされて更新中。時代は食から変わるのかも。

1112 鬼っ子といわれて

アメリカオニアザミ棘だらけで目の仇にされているアメリカオニアザミ。出自はヨーロッパ。人類の活動に従って世界に分布を拡げた。今ある自然は侵略と撹乱の末にできた。このアザミに罪はない。生態系被害防止外来種とは勝手な言いがかりだ。二次草原、都市環境、自然災害の荒廃地に生きるニッチを見つけた。森には生えない。切り倒し綿毛をほぐして火を付けたら「ボン」と爆発した。怒っている。

 

1110 アカンサス

アカンサス随分むかし、ルスツの農家の庭で出会って、惚れ込んで入手した。人ぞ知るギリシャの石柱のレリーフの飾り模様がこれ。柱ともどもデザインとしてシルクロード伝いに受け継がれ、飛鳥や平安朝の寺院の円柱となり、葉の方は唐草模様となった。植えてみると葉も花も実に存在感があり、さもありなんと思う。夏眠をして秋にまた葉を茂らせ、翌春またまた同じ葉を茂らす。力をもらえる。

1109 ヒメヒオウギズイセン

ヒメヒオウギズイセン隣のリンゴ果樹園さんにいただいた裏庭の一株。アヤメ科Crocosmia 属のヒメヒオウギズイセン。クロコスミア、モントブレチアなどの園芸品種名で知られている。この季節、この町の古い農家の庭に盛大に赤い花を付ける。夏に赤い花の少ない北海道では特別な風情だ。開拓の歴史と繋がるのであろう。原産は南アフリカ。世界中で野生化していて、園芸品種もたくさんあるという。

1105 耐えて春

スノウドロップ三月の遅い大雪がやっと溶けた。硬く凍った雪と庭石の暗い隙間で、スノウドロップはこんなに花を付けていた。気が付くとフクジュソウもクロッカスの花も開いている。置かれて状況がどうあれ、草花の体内時計は時を刻み続けいのちをつなげる。動物は周囲の環境に積極的に対応するが、植物はおかれた場所でひたすら耐え自らを守り続ける。必ず来る春を待ち、花を開いて世代を紡ぐ。