249 まどろむ湖

洞爺湖朝の霞みの中の洞爺湖。風も吹かず音も無い。ニセアカシアのあまい香りが溜っている。透明な蜂蜜に溶け込んだような世界だ。アズキナシ、トチノキ、ホウノキ、次々と花が咲き、散って、ひとつずつ時間が過ぎてゆく。すべてを纏めてこの瞬間だ。この一瞬を私たちは待っている。