205 世界一呑気な鱈

「鱈」世界を変えた魚の歴史一本100円で乾して冷凍したスケトウタラが売っていた。家族分の夕餉の一品となった。マダラの乾燥品も一般的だ。手をかけて作る芋棒も旨い。上出来な卵巣の塩漬けも自作する。そしてある日、マーク・カーランスキーの「鱈」を読んだ。世界のいくつもの国々が鱈で救われ、鱈で成り立った事実がそこにあった。カナダ、イギリス、オランダ、ポルトガルもタラで戦い、タラで救われた。カリブ海諸国の奴隷制の陰には暗澹たる食としての塩鱈が関わっている。アイスランドでは農作物は作れず、タラで建国するために領海を命がけで3海里を獲得し、4海里、12海里、50海里、200海里へ拡大しながらと国の存亡をかけ、英、独との激しいタラ戦争を経て列強と対峙した。読み終わっていろいろ考えた。タラは世界中で激減している。日本はその現状に実に呑気だ。