438  身近だった

ヤマブドウ初雪が風とともにやって来ると、秋を彩っていた葉が一気に落ちる。明るくなった林を足音とともに歩く。いちばんの贅沢だ。梢から落たヤマブドウの小さな房が見つかった。新鮮で白い粉が付き、天然の酵母も一緒なのだろう。見上げるといくつもぶら下がっているが、あわてて採ることもあるまい。昔、老人が種ごとカリカリと食べていたのを思い出した。上出来ではなかったが、昔はこれで素朴なワインを作った。アイヌ語では「hat=ハッ」というそうだ。