283 木陰の炎

マムシグサこの季節遠目にも気付くマムシグサの赤い実。テンナンショウ属の有毒植物だ。蓚酸カルシウムなどの毒成分により、一粒食べても口の中に灼熱感と激痛が走るという。洞爺湖中島の増えすぎたエゾシカの食害からも逃れている。ミノカサゴ、サンゴヘビなどと同様派手な色彩で自己の有毒を喧伝しているようにも見える。生態系という時空の中での進化の妙味だ。澱粉を含む塊茎は救荒植物だともいう。古来ヒトは無毒化させる手法を考案しながら食の文化を築き上げたが、それだけ過酷な自然を生きてきたということなのであろう。