546  いのちの行方

死の円舞壮瞥川が昭和新山に遮られてできた新山沼に小さな波紋を見つけた。樺色の蛾が仰向けになり、羽ばたきながらくるくると回って水に流されてゆく。渦と同心円が錯綜する死の円舞。やがて一瞬ふっと輪が消えた。小さな虫の派手なひとり芝居をさっき見た大きなコイが下から飲み込んだのだ。どのいのちも死に方はそれぞれだ。過激だが決して不条理ではない、ごく普遍的ないのちの終末。