423  逢魔が時

逢魔が時赤トンボが飛んでいた高い空も気がつくと茜色を少しだけ残し、灯点し頃の時刻も過ぎた。薄墨色の鱗雲の影を通して三日月が見える。山の闇に民家の灯りが一つ。祭りも終わり、今日は何と静かなことか。静寂ゆえに何処からか音がきこえる。地虫が鳴くのか耳鳴りなのか。一日の終章、夜への緒言。冷えてきた。足元にはもう露が下りているようだ。