295 ノスリが飛んで

ノスリ目覚めたら銀世界。雲の切れ間からカラマツに朝の陽があたって、真鍮色の林が浮き上がった。シャッターを切っていたらファインダーにノスリが飛び込んで来た。大きく旋回する彼の眼にはこの初冬の鳥瞰図、どの様に見えるのだろう。有珠山を取り巻くこの地域には数つがいが棲みついている。悠揚迫らぬ軟らかな飛翔は、移ろい行く風景のなかで、「決して変わらぬもの」もあることを教えてくれる。