290 落暉残照

ギボウシこの夏の強かった日差しを耐えて、権勢をふるっていたギボウシも、此の処の朝夕の冷えと冷たい雨にあたって、一気に色づき始めた。墜ち行く者の光芒、枯れ行く前の高揚がそこにある。ギボウシは「擬宝珠」。日本の品種はシーボルトによってヨーロッパに伝えられ多くの園芸種となり、ホスタと名を変えて再渡来した。若葉の生命感もいい、派手すぎない花もいい。しかし、この透明な琥珀色は命が昇華する色だ。