285 名残りの白菊

コハマギクコハマギク。削られ、埋め立てられて、有無を言わさず作った漁港の、分厚いコンクリートと鉄錆の隙間に咲いていた。室蘭の外海に面したあの懐かしい追直(おいなおし)の浜は消えてしまった。沖合にあったニラス岩は防波堤の続きとなり、あれだけ広かった砂浜は砂粒一つ残っていない。昔、海草研究所のあった崖のあたりで、弱い夕陽を受けている一群のコハマギクを見つけた。懐かしさと侘しさが滲んだ白だ。