260 アブの夏

ヤマトアブこの町には川や牧場があって、ガラス窓に音を立ててよくアブがぶつかる。これはヤマトアブか。昆虫のハエ目に分類され、ハエ、アブ、カ、ブユは同じグループだ。この連中、本来あるべき四枚の翅は二枚となり、あとは飛翔時にバランスをとる平均棍となっている。日焼けの肌に瞬時にサクリと小刀状の口器で傷を付け、血を舐め取る巧みさは実に野生的だ。叩かれてコロリと落ちるいさぎよさも夏の思い出。