177 春よ

イヌコリヤナギ 凍りついた足もとに、何かしら軟らかな気配がして、そこにはイヌコリヤナギの低い株があり、今にも動き出しそうな芽があった。オリーブ色の曲線を描く若い枝と、膨らみつつあるバーミリオンの花芽は、花綵となってたおやかに繋がり、滴る氷はまるで軟らかなゼリー菓子のようだ。ほんの一瞬だったが、懐かしい春の匂いがした。  「春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき、、、」