154 痩身のつわもの

オツネントンボ 天井のあたりをひらひら飛ぶものがいる。よく見るとオツネントンボだった。このところ冷え込んできたので、鉢植えを部屋に入れたがそれについて来たらしい。このトンボ、冬の氷点下-20℃を次の春まで持ちこたえる。このまま室内で過ごさせようかと一瞬考えたが、窓を開けて外へ追い出した。きっとどこかで春を迎えるだろう。つま楊枝にも満たない細身だがピンと伸びた翅と胴、そして何よりもこの決意を込めた眼を見ればそう確信できる。