134 いにしえの味

モチキビ 秋の楽しみの一つはこのトウモロコシ。ブルーブラックのインクがしみこんだような「モチキビ」。ホロホロと粒が締まっていて食べやすく、歯に纏いつく感触とほのかな甘みが何とも言えない。豊かな旨さがあるのだ。親指の腹全部を使って横もぎをすると芋虫のような形になって掌に転がる。黄色で軟らかく甘さを誇るだけの今のは私にとって全然ダメ。甘けりゃいいというものではない。糖度を競う甘いだけで青臭さのないトマトも同類だ。「昔はよかったね~」。