飯寿司(飯鮓)を作った。北海道では「いずし」と言う。古来からの熟れ鮓(なれずし)がいくつもの土地の食文化として伝えられて、ついにはニシン漁、サケ漁の文化の花開いた北の大地にまでたどり着いた。琵琶湖の鮒ずし、石川県のブリのかぶらずし、栃木のアユのくされずしなど、各地にすぐれた食味として伝えられている。その味は川でも海でも漁師達の腕の見せ所であった。
飯寿司は飯と米こうじを混ぜて使うのが一般的だ。それと塩で揉んでしんなりさせた野菜。そしてメインの魚。この季節は新鮮な地元の魚、ホンマス(本鱒)が手に入る。ヤマメの親にあたりサクラマスが標準和名。これを三枚にし、あばら骨をすき、塩をして数日置いて水分を取る。野菜と麹飯、魚を交互に6層ほどに重ねる。飯鮓は漬物である。乳酸発酵が味と保存性の決め手だ。トッピングにはこの近くの川で釣ったヤマメを飾った。15kg程の重石をし、0℃~5℃くらいで二カ月もすれば完成だ。